FXで取引している方なら「両建て」はリスクが大きいと言われているのを一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
実際に取引額が多くなるためリスクも増え、多くの証券会社があまり推奨していない取引手法です。
しかし、有効に活用できると利益を増やしたりリスクを減らしたりできる手法でもあります。
人によって意見が分かれる両建てですが、具体的な意味はどのようなものなのでしょうか。
このページでは両建ての意味や活用方法、メリット・デメリットなど紹介していきます。
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このページのもくじ
FXの両建てとは
両建てとは、一つの為替ペアで買いと売りのポジションを同時に保有することです。
FXでは、外国為替取引や株式取引と異なり外貨を売ることから取引を始めることができ、外貨を売った時の売値と再度外貨を買った時の買値の差額で利益が生じる「売り」という取引手法があります。
例えば米ドル円での取引で「買い」の場合は1ドルが100円の時に買い、その後1ドル110円に相場が変化したときに売ることで10円の利益が生じます。
反対に「売り」では1ドルが100円の時にドルを売ることから取引を始め、その後1ドルが90円になった時に売ると利益が生じます。
上記のようにFXには「買い」と「売り」の2つの取引手法があり、一つの為替ペアで「買い」と「売り」の取引を同時に行うことを両建てと言います。
FXで両建てするメリット
FXでは相場が上昇する時は「買い」、下降する時は「売り」で取引することが基本ですが、なぜ相場と逆行して両建てする方がいるのでしょうか。
両建てのメリットを理解することで悩みを解消できますので、メリットについて理解を深めましょう。
両建ての4つのメリットについて紹介します。
- 損失リスクを抑える
- 節税対策ができる
- 少ない証拠金で取引額を増やせる
一つずつ詳しく解説していきますので、確認しましょう。
損失リスクを抑える
相場が上昇すると見込んで買いで取引を開始した場合に相場が下降し始めたタイミングで売りポジションを保有すると損失リスクを減らしたまま買いのポジションを保有することができます。
例えば米ドル/円のペアの取引で1ドル100円の時に1,000通貨買った後、1ドル90円まで下降した場合、買いのポジションしか保有していないと単純に1万円の損失が発生します。
しかし、1ドル95円まで下降したタイミングで1,000通貨分の売りのポジションを保有していると、1ドル90円に達した時は買いのポジションで1万円のマイナスですが、売りのポジションでは5千円のプラスになりますので、合計すると損失を5千円に抑えることができました。
上記のように両建てをすることで損失が拡大するリスクを抑えられます。
節税対策ができる
個人で取引している場合、FXの取引で利益を得た場合は所得税や住民税が掛かります。
毎年1月1日から12月31日の間に発生した利益のうち決済が完了している金額が税金対象となります。
そのため年末に得た利益を決済せずに来年に持ち越すと当年の税金対象となりませんので、課税対象の金額を抑えることができます。
FXでは一つの為替相場で「買い」と「売り」のポジション数を同時に保有しているときは損失も利益も発生しません。
例えば1ドルが100円の時に1,000通貨分「買いポジション」を保有し、同じタイミングで1,000通貨分「売りポジション」を保有したとします。
その後1ドルが90円に変動した場合、買いのポジションでは10円×1000通貨で1万円の損失ですが、売りポジションでは1万円の利益が生じているため損益が発生しません。
上記の手法を用いて、すでに得ている利益を決済せずに翌年まで持ち越すことで税金対策ができます。
少ない証拠金で取引額を増やせる
FXではレバレッジ制度があるため実際に入金している金額の最大25倍までの資産を運用でき、実際に入金した金額を証拠金と言います。
例えば米ドル/円のペアの取引で1ドル100円の場合に1,000通貨を保有するためには本来は10万円の資金が必要ですが、レバレッジが25倍の場合は4万円の証拠金があると1,000通貨の取引に参加できます。
基本的には上記の算定方法で必要な証拠金額が決まりますが、一つの為替ペアで買いポジションと売りポジションを保有している場合に、「買いポジションの保有数」と「売りポジションの保有数」の内、ポジション数が多い方のみの証拠金で取引できるといったMAX方式という証拠金の算定方法があります。
例えば1ドル100円の時に買いポジションで2,000通貨保有していて売りポジションで1,000通貨保有している場合は、差分の1,000通貨分の証拠金で3,000通貨分のポジションを保有することができます。
ただし、MAX方式を導入していない証券会社もありますので、ご注意ください。
FXで両建てするデメリット
前述したとおり両建てを上手く活用できるとリスクを抑えながら利益を増やせますが、両建ては多くの証券会社が推奨していない取引方法です。
推奨されていない理由についてはデメリットについて知ることで理解できるでしょう。
両建ての3つのデメリットについて詳しく解説していきます。
- スプレッドに掛かるコストが増える
- ロスカットになる可能性が高くなる
- スワップポイントも相殺される
スプレッドに掛かるコストが増える
外貨の両替では日本円を外貨に両替するときにレートと外貨を日本円に両替するときのレートが異なるため、日本円から外貨に両替した直後に外貨から日本円に両替しても最初の金額より手元に残る金額は減ります。
例えば日本円から米ドルに両替する際のレートが1ドル100.80円で、米ドルから日本円に両替する場合のレートが1ドル100.75円だったとき、日本円から米ドルに両替して直後に日本円に両替したとしても手元には100.80円支払っても100.75円しか手元に残りません。
上記の際に生じた各レートの差額をスプレットといい、両建てでは2回分の取引を行いますのでスプレットに掛かるコストも2倍になります。
ロスカットになる可能性が高くなる
FXでは預けた証拠金より大きく損失してしまう場合がありますが、損失額が証拠金を著しく超えてしまわないよう証券会社で決めたルールのもと強制的に決済する制度があり、その制度をロスカットと言います。
高いレバレッジで取引している場合は得られる利益も大きいですが、反対に損失額も大きくなりますのでロスカットの対象となりやすいです。
両建てではMAX方式を採用していない証券会社で取引する場合は、より多くの証拠金が必要になりますので、取引額のギリギリの証拠金しかない状態で両建てを行えばロスカットされるリスクが高まりますのでご注意ください。
スワップポイントも相殺される
外貨の両替では取引の際に2つの通貨の金利差が発生した場合に金利差調整分が発生し、高金利の国の通貨を買って低金利の通貨を売った場合に生じる金利差を活用して利益を得ることができます。
その利益を得ることをスワップといい、金利差のことをスワップポイントといいます。
例えば米ドルの金利が02%で日本の金利が0.1%だった場合、日本円を売って米ドルを買うと0.1%の金利を受け取ることができますが、反対に米ドルを売って日本円を買うと0.1%の金利を支払わなければなりません。
両建てでは一つの為替ペアを保有するためスワップポイントが相殺されてしまうため、得られるはずの利益がなくなってしまうこともあります。
FXの両建ての使い方
ここまでの記事では両建ての手法についての解説からメリット・デメリットの紹介をしてきましたが、具体的にはどのように活用するべきかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここからはFXにおける両建ての活用の方法について紹介していきます。
両建てでは主に以下の2つの方法で活用すると有効な場合が多いです。
- レンジ相場で活用
- 短期・長期の2つの視点で取引する際に活用
一つずつ詳しく解説していきますので、理解を深めましょう。
レンジ相場で買いと売りで同時に取引する
ある一定の金額で上昇と下降を繰り返すレンジ相場では高値と安値の目安がわかりやすいことと、ある程度上昇することや下降することが予想しやすいため、「買い」も「売り」も取引しやすいです。
そのため、「買い」と「売り」でそれぞれ利益を出したいときに増やしたい場合に両建てします。
レンジ相場になりやすいと言われている相場は、以下の5つがあります。
- 米ドル/円
- 豪ドル/円
- 豪ドル/米ドル
- NZドル/円
- NZドル/米ドル
上記の中でも豪ドル/円の組み合わせがレンジ相場になりやすいと言われています。
短期・長期の2つの視点で取引する
上記の他にも両建ては長期トレードと短期トレードを同時に取引する場合にも活用される手法です。
例えば、長期的にみると上昇すると予測して買いポジションを保有しておきながら、短期的には下落すると予想した際には一時的に売りポジションを保有するといった長期・短期の2つの視点から取引する場合に有効です。
ただし長期と短期の2本立てで取引すると資金管理が複雑になり、ロスカットになるリスクも高まりますので、ある程度経験を積んでから両建てに挑戦することをおすすめします。
FXで両建てをするときの注意ポイント
両建ては適切に活用できると少ない証拠金で大きな金額の取引が出来たり、利益を増やしたりなどのメリットがありますが、スワップが得られないことやスプレットに掛かるコストが増えるなどもメリットがあると紹介してきました。
上記の他にも両建てを活用するときに注意しなくてはいけないポイントがありますので紹介していきます。
紹介するポイントは以下の2点です。
- 取引コストが利益を圧迫する可能性がある
- 証券会社によってはMAX方式がない
取引を始める前に確認しておきましょう。
証券会社によってはMAX方式がない
前述したとおりMAX方式とは、両建てした際にポジション数が多い取引の分の証拠金で取引できる制度ですが、証券会社によってMAX方式を導入していない場合があります。
MAX方式を導入していない証券会社で両建てする際は、保有するポジション数すべての証拠金が必要です。
もし証拠金に余裕がない状態で取引していると意図しないタイミングでロスカットされてしまうリスクが高まりますので、ご注意ください。
また、ロスカットの基準は業者ごとによって異なりますので事前に確認しておきましょう。
取引コストが利益を圧迫する可能性がある
両建てはスワップポイントに掛かるコストが増え、スプレットコストも最大で2倍掛かりますので、場合によっては利益を圧迫してしまうほどのコストがかかることもあります。
買いと売りのスワップポイントを合計してマイナスの場合は差額分を毎日支払う必要があるため、長期間両建てしていると結構な金額になりますので、両建てするかはスワップポイントの状況によって両建てを使い分けると良いでしょう。
両建てはスワップポイントやスプレットコストのことも加味しながら戦略づくりをしないと損してしまう可能性がありますので、ある程度取引に慣れてから導入することをおすすめします。
両建てができるおすすめ取引口座
例えば、少ない証拠金で取引金額を上げたい場合、レバレッジを上げることもできますが、レバレッジを上げすぎるとロスカットの影響を受けやすくなりますので、レンジ相場のとき両建てがおすすめです。
しかし、両建てといっても少ない証拠金で取引金額を増やせるMAX方式がないと結局証拠金が増えてしまいますので、両建てをする際はMAX方式を導入している証券会社で取引をしましょう。
ここからはMAX方式を導入している4つの証券会社を紹介していきますので、ご確認ください。
- みんなのFX
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みんなのFX
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みんなのFX(トレイダーズ証券)の評判・口コミはどう?メリット・デメリットと口座開設時の注意点を徹底解説
セントラル短資FX
最小取引単位 | スプレッド | 米ドル/円 スワップ |
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セントラル短資FXの評判・口コミは?メリット・デメリットを徹底解説
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ヒロセ通商「LION FX」の評判・口コミは最悪?メリット・デメリットと口座開設時の注意点を解説
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リスクを押さえたうえで取引すると利益拡大に期待できる手法ですので、しっかと知識を身につけることが大切です。
実際に取引する際はMAX方式がある証券会社で取引して両建てのメリットを最大限まで活かしましょう。