FXの通貨ペアとは?初心者におすすめの通貨ペアの特徴・おすすめできない通貨ペアを紹介
FXで利益をあげるためには、どの通貨ペアを選ぶかが重要になります。
自分はどのスタイルで取引をするのか、どのように稼いでいくのかも、選んだ通貨ペアによって大分変わってきてしまうのです。
通貨ペアは種類が多すぎて、初心者はどれを選べばよいか分からない方も多いのではないでしょうか?
今回は特にそうした初心者に向けて、通貨ペアを選ぶ際の基本的な考え方と、おすすめの通貨ペアを紹介していきます。
このページのもくじ
FXの通貨ペアとは?基本的な仕組みをわかりやすく紹介
FXは2国間の通貨の取引で利益を狙う方法で、始める時に必ず対となる通貨のペアを選ぶ必要があります。
通貨ペアを選ぶ際は、売り通貨と買い通貨を選びます。※買い通貨/売り通貨
米ドル/円の場合、円を売って米ドルを買い、その差益で儲けることを前提とした通貨ペアということになります。
スワップポイントとスプレッドとは?
それぞれの通貨ペアにはスワップポイントとスプレッドというものも設けられています。
スワップポイント(金利差調整分)は、売り通貨と買い通貨の金利差から得られる利益のことを指します。
このスワップポイントは、毎日受け取ることができる利益で、取引とは違った方法で儲けることが可能です。
一方、通過の売値と買値の差をスプレッドと呼びます。
スプレッドは取引手数料のないFXでの実質的なコストになるため、初心者はできるだけスプレッドの狭い通貨ペアを選んだほうが安心です。
スプレッドは各FX会社によって異なる他、時間帯によって広さが変わるケースもあります。
通貨ペアごとのpips(ピップス)とは?
スプレッドを表現する際の単位は、銭・pipsのどちらかを使って表現します。
銭は日本円を含む通貨ペアのスプレッドで利用される単位ですが、それ以外の通貨ペアではpipsが使われます。
1pipsは0.01という意味で、日本円なら0.01円=1銭。米ドルなら0.01セントとなります。
通貨ペアを選ぶ際の基本的な2つのポイント
無数の組み合わせから最適な通貨ペアを選ぶ際、注目すべきポイントはこちらの2つです。
- 安い買い通貨と、高い売り通貨の差が大きいペアを選ぶ(為替差益で儲ける)
- 金利差の大きいペアを選ぶ(スワップポイントをためる)
FXは、取引をして為替差益によって利益を得るか、スワップポイントをためるか、2通りの稼ぎ方しかありません。
そのため、通貨ペアもどちらの方針で稼ぐかを決め、それに沿って通貨ペアを選ぶ必要があります。
最初のうちは為替差益で儲けることを目標にする
FXで儲ける方法は2通りありますが、最初のうちはまず為替差益で儲けること、つまりトレードで利益を出すことを目標にすることをおすすめします。
FXの基本は何と言っても取引であり、経験することでトレーダーとして成長していくことができます。
スワップポイント狙いで通貨ペアを組む場合、高金利通貨を選ぶ必要がありますが、新興国の高金利通貨は値動きが激しいため、急激に変動するリスクが初心者にとっては厳しいところです。
特にこだわりがないのであれば、まずは為替差益に向いている通貨ペアを選ぶことをおすすめします。
為替差益で儲ける時の通貨ペアの選び方
為替差益で儲けようと思ったら、見るべきポイントは2つです。
- 取引の利益を大きくする
- 取引のコストを少なくする
この2点を実現させるために、注目したいポイントは以下の2点です。
①スプレッドの狭い通貨ペアを選ぶ
買い通貨と売り通貨の政策金利差であるスプレッドは、実質的なFXの取引手数料になります。
取引で利益を増やすためには、1回あたりのコストを減らすことも大切になります。
コストを減らすためには、政策金利差が少ない=スプレッド差が狭い通貨ペアを選ぶことが重要です。
②流動性(ボラティリティ)がある程度ある通貨ペアを選ぶ
FX取引で利益を出すには、流動性(ボラティリティ)の高さが必要になります。
流動性があるとトレンドが発生しやすくなり、初心者でもチャートを読みやすくなります。
流動性のない通貨は安全なようにも感じますが、全く値動きがないと思ったら急激に上下へ変動するリスクがあるので、逆に緩やかに変動しているほうが安全という見方もあります。
為替差益で儲けるのにおすすめの通貨ペア
為替差益で儲けるためには、上記の2点を抑えることが大切です。
更にその上で初心者にもおすすめなのは、通貨ペアの片方を日本円にする方法です。
日本円は世界でも屈指の安定通貨で、かつ自国通貨なので情報が手に入りやすいのが魅力です。
その中でもおすすめの組み合わせを2つ紹介します。
米ドル/円(USD/JPY)
扱いやすさ | 最高 |
---|---|
スプレッドの狭さ | 最狭基準 |
流動性(ボラティリティ) | 最高基準 |
スワップポイント | 高基準 |
安定性 | 最高基準 |
初心者におすすめの代表的な通貨ペアが米ドル/円です。
FXを始めるほとんどの方が、まずはこの通貨ペアから取引を始めます。
世界の基軸通貨同士のペアということもあり安定性は抜群。スプレッドが安く、ボラティリティも高いオールマイティな通貨ペアです。
このペアの為替情報は簡単に手に入れることができるのもおおきな魅力です。
米ドル/円のペアはほぼ全てのFX会社が取り扱っていますが、スワップの差があるので注意しましょう。
ユーロ/円(EUR/JPY)
扱いやすさ | 最高~高 |
---|---|
スプレッドの狭さ | 最狭基準 |
流動性(ボラティリティ) | 最高基準 |
スワップポイント | × |
安定性 | 最高基準 |
ユーロ/円もFXで代表的な通貨ペアで、高い安定性を誇ります。
経済力のある欧州各国の共通通貨であるユーロは通貨の中でも安定性は高いという評価はありますが、移民やテロの問題、その他の政治的リスクを抱える国を多く擁している他、新興国も多く加盟しているため、常に安定しているとも言えません。
2020年現在は申し分のない安定度と言えますが、スワップポイントがマイナスになるリスクもあり、長期で保有する危険性も高いです。
- 買い通貨の銀行金利-売り通貨の銀行金利=スワップポイントとなるため、政策金利が0.0%のユーロを円で買うとマイナスになる。※マイナススワップはコストとなり、トレーダーが支払う必要がある
スワップポイントを貯める時の通貨ペアの選び方
スワップポイントを貯めて利益を得ることを前提とする場合、通貨ペアの選び方は前述のやり方と大分異なります。
ここからは、スワップ狙いでの運用を考える方におすすめの通貨ペアの選び方を紹介します。
①FX会社が設定するスワップポイントの高さで選ぶ
スワップポイントがいくらかに関しては各FX会社のHPに書かれているので、そちらをチェックする必要があります。
同じ通貨ペアでもFX会社によって設定されるスワップポイントは異なるため、注意が必要です。
スワップポイントは取引のない日も毎日貯まっていくので、1日で貯まるスワップポイントが10円なら、年間で3,650円の利益になります。
このように、スワップポイントで稼ぐ際は、どれくらいの期間でいくら稼ぐのかという計画を立てることをおすすめします。
②安定性で選ぶ
長期でスワップポイントを貯めていきたい時、課題となるのが途中でロスカットを受けるリスクです。
ロスカットは相場の変動によって損失がFX会社の定める証拠金維持率を割った時に起こります。
ロスカットを受けるとマーケットから強制的に退場となるので、スワップポイントもそれ以上貯めることは出来ません。
スワップポイントは2国間の金利差によって決まるので、高スワップを貯めたい時は新興国の高金利通貨を選ぶ傾向にあります。
こうした新興国は市場が不安定で、政策や紛争のリスクを抱えていることが多く、ロスカットの危険性も高いので注意が必要です。
スワップポイントを長期で貯めるには、設定の高さと安定性のバランスを加味することが重要です。
スワップポイントを貯めるのにおすすめの通貨ペア
通貨ペアを選ぶ時は、前述の通り金利の高さと安定性のバランスを見る必要があります。
初心者は高金利かつ、経済が成熟した国の通貨を選ぶことをおすすめします。
まずは円×高金利通貨のクロス円取引から始めましょう。
- 円と、ドル以外の外貨の通貨ペアのこと
豪ドル/円(AUD/JPY)
扱いやすさ | 最高 |
---|---|
スプレッドの狭さ | 最狭基準 |
流動性(ボラティリティ) | 高基準 |
スワップポイント | 〇 |
安定性 | 最高基準 |
豪ドル通貨は高金利通貨の中でもかなり安定しており、スワップ狙いの運用を始めるにはうってつけの初心者向け通貨ペアです。
安定性が高く、ロスカットのリスクは低いですが、その分スワップポイントが最も貯まるという訳ではなく利益に限りがあります。
最初のうちは豪ドル/円でスワップ運用になれておき、経験を積んだら後述する通貨ペアを検討していくのがおすすめです。
NZドル/円(NZD/JPY)
扱いやすさ | 最高 |
---|---|
スプレッドの狭さ | 最狭~狭い |
流動性(ボラティリティ) | 高基準 |
スワップポイント | 〇 |
安定性 | 最高基準 |
NZドルも安定性の高い高金利通貨です。
ただ、NZドルの値動きは近隣のオーストラリアの動きをかなり踏襲しており、かつスプレッドが相対的にやや広めなので、あえて豪ドルではなくNZを選ぶのが良いかと言われると疑問です。
各社のスワップポイントを比較し、豪ドルよりもメリットがあると判断したなら選択の余地があります。
トルコリラ/円(TRY/JPY)
扱いやすさ | 高 |
---|---|
スプレッドの狭さ | 普通~狭い |
流動性(ボラティリティ) | 中 |
スワップポイント | ◎ |
安定性 | やや低め |
2020年現在、スワップポイント狙いのトレーダーに最も人気が高いのがトルコリラ/円ペアでしょう。
金利15%前後で推移していた時もあるほどで、上手く運用すれば大きな利益を得ることができます。
ただ、トルコも政治・経済が安定している訳でなく、過去にデフォルトを起こしたこともあるなど、決して初心者にとって安心な通貨ペアとは言えません。
南アフリカランド/円(ZAR/JPY)
扱いやすさ | やや低め |
---|---|
スプレッドの狭さ | やや広め |
流動性(ボラティリティ) | やや低め |
スワップポイント | ◎ |
安定性 | × |
南アフリカランド/円は、高スワップ狙いのトレーダーはぜひ抑えておきたい通貨ペアです。
ただ、トルコリラよりも政局不安で変動しやすい要素があるので、初心者に強くおすすめはできません。
とはいえ、「高スワップを貯める」という目的を考えると、トップクラスで魅力的な通貨ペアと言って良いでしょう。
初心者におすすめできない・勘違いして選びやすい通貨ペア
ユーロ/米ドル(EUR/USD)
米ドル・ユーロ・日本円と、3大基軸通貨に数えられる通貨のうち2つで組んだ通貨ペアということもあり、多くの方が初心者向けのマッチングと思うことでしょう。
実際、為替取引では最も取引量が多いペアであるので、間違った組み合わせではありません。
ただ、国内でFX取引をおこなう場合は、ほとんどの方が口座に円を入金するようになります。
- 入金:円
- 買い通貨:米ドル
- 売り通貨:ユーロ
この場合、実態としては円/米ドル取引と、米ドル/ユーロ取引の2段階がおこなわれていることになります。
そのため、米ドル、ユーロのチャートを見なければいけないなど、いろいろ複雑になってしまうため、日本のFX初心者には向いていないのです。
ポンド/円(GBP/JPY)
世界屈指の金融国家であるイギリスのポンドとクロス円の組み合わせということで、こちらも初心者向けの安定した通貨ペアのように思えます。
しかし実は、英ポンドは変動性が高く、初心者には難しい通貨の1つでもあります。チャートの読みが甘いうちにこの組み合わせを選ぶと、急激な変動に対応できない可能性が高いのです。
ただ、ボラティリティの高さ=利益の上げやすさにもつながるので、中級者以上はチャレンジしてみる価値が十分ある通貨ペアでもあります。
スキャルピング・デイトレードなど短期売買をする時の通貨ペアの選び方
スキャルピングやデイトレードのように短期売買をする際は、通過ペアの選び方も少し違ってきます。
- 通貨取引量が多い
- ニュースが豊富
- スプレッドが狭い
短期売買では短い時間で判断をする必要があるため、FX会社が多くのニュースをリアルタイムで配信していることも重要な要素となります。
また、少ない利益を短期で積み上げる方法をとるので、スプレッドの狭さは非常に大切です。
短期売買におすすめの通貨ペア
短期売買におすすめの通貨ペアは、以下が代表的です。
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- 英ポンド/円
ただ、短期売買を認めていないFX会社も多いので、どの口座を選ぶかもしっかり検討しましょう。
上記3つのうち、英ポンド/円は前述の通り、やはり初心者にはおすすめできません。
長期トレードをする時の通貨ペアの選び方
年に数回や2年に1回という長期スパンでのトレードを検討する場合、何より注意したいのがスワップポイントです。
流通量やスプレッドは取引が少ない分気にする必要はありませんが、スワップポイントがマイナスの場合はどんどん損失が膨らむので注意が必要です。
長期トレードにおすすめの通貨ペア
スワップポイントが高いことを考えると、以下の通貨ペアがおすすめです。
- トルコリラ/円
- メキシコペソ/円
- 南アフリカランド/円
長期トレードは、経済指標や金融政策といったマクロな要素を分析(ファンダメンタル分析)することが重要なので、一般的なトレードとは少し異なります。
経済の知識や国際情勢への理解が必要になるので素人には向きませんが、逆に勉強した方ならおすすめの方法と言えます。
理解しておきたい通貨ペアの基礎用語
通貨ペアの相関・逆相関とは?
通貨ペアの相関・逆相関は、取引を有利に進めるためには重要な知識です。
- 通貨ペアAが上がると通貨ペアBが上がる⇒相関関係にある
- 通貨ペアAが上がると通貨ペアBが下がる⇒逆相関関係にある
通貨ペアの相関・逆相関関係はFX会社が提供している相関係数で見ることができます。
一例として、セントラル短貨FXが提供している日本円クロスの相関係数を見ていきましょう。
通貨ペア | USD JPY |
EUR JPY |
GBP JPY |
AUD JPY |
CAD JPY |
NZD JPY |
CHF JPY |
ZAR JPY |
CNH JPY |
TRY JPY |
MXN JPY |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
USD JPY |
1.00 | 0.59 | 0.58 | 0.39 | 0.64 | 0.53 | 0.37 | 0.53 | 0.85 | 0.48 | 0.52 |
EUR JPY |
1.00 | 0.74 | 0.71 | 0.77 | 0.82 | 0.45 | 0.70 | 0.71 | 0.56 | 0.66 | |
GBP JPY |
1.00 | 0.75 | 0.86 | 0.89 | 0.27 | 0.79 | 0.80 | 0.65 | 0.82 | ||
AUD JPY |
1.00 | 0.88 | 0.92 | -0.02 | 0.77 | 0.50 | 0.64 | 0.80 | |||
CAD JPY |
1.00 | 0.92 | -0.04 | 0.94 | 0.74 | 0.84 | 0.95 | ||||
NZD JPY |
1.00 | 0.21 | 0.85 | 0.72 | 0.68 | 0.86 | |||||
CHF JPY |
1.00 | -0.05 | 0.50 | -0.26 | -0.03 | ||||||
ZAR JPY |
1.00 | 0.69 | 0.93 | 0.97 | |||||||
CNH JPY |
1.00 | 0.57 | 0.68 | ||||||||
TRY JPY |
1.00 | 0.90 | |||||||||
MXN JPY |
1.00 |
相関係数が1.00に近づくほど相関関係が強くなり、0に近づくほど相関性はなくなります。
逆に係数がマイナスになると、反対をしやすくなります。
通貨ペアの強弱とは?
チャート予測をするために重要指標の1つが、通貨ペアの強弱です。
例えば、同時に以下のような関係性が成り立っていたとします。
- 円安・米ドル高が進行⇒米ドルが強く、円が弱い
- 円高・ユーロ安が進行⇒円が強く、ユーロが弱い
この場合、米ドル>円>ユーロという強弱関係が出来上がっていると考えられます。
FXは1番強い通貨を買って、1番弱い通貨を売るのがセオリーですから、通貨ごとの強弱関係を理解し、最強―最弱の通貨ペアを組めば、大幅に上昇して高利益を得られる可能性が高くなります。
通貨ペアの組み合わせは奥が深い!
通貨ペアの組み合わせは単に型どおりに組むのではなく、強弱や相関関係などを理解するとより奥が深く感じます。
このような指標・数値だけを追っていても意味がなく、それぞれのミクロ・マクロな経済動向をチェックしておく必要もあります。
初心者にとっては難しい部分でもありますが、理解することで勝率はどんどん上がってきますよ!