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韓銀砲とは?ワロス曲線とハゲタカとの攻防・日銀砲との違いを解説

為替関連のネットスラングで最近「韓銀砲」という言葉が良く見られます。

これは、韓国の中央銀行である韓国銀行(韓銀)が為替市場に介入することで、為替が大きく変化する様子を指します。

韓銀砲については、2008年から起こったサムプライム問題による金融危機で韓国通貨危機が発生した際に韓銀がウォン防衛を実施したことから注目され始めました。

韓銀砲が発生すればウォンの動向が大きく変わるので、投資家なら仕組みを把握しておくべきでしょう。

今回は、韓銀砲の為替への影響について分かりやすく解説していきます。

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韓銀砲の契機になった韓国通貨危機とは?

韓銀砲のきっかけになったのは、2008年から2009年にかけて発生した韓国通貨危機です。

韓国経済は1997年に通貨危機を経験しており、IMFによる救済を受けた経験があります。2000年台の通貨危機は、これと同程度の混乱だと韓国内で捉えられています。

サムプライムローン問題からウォン下落までの経緯

2008年9月にアメリカでサムプライムローン問題が表面化したことで、韓国政府筋の韓国産業銀行(KDB)がリーマン株の出資協議を打ち切りました。

これによってリーマン株の売りが増大してリーマンブラザーズは破綻。アメリカ最大の倒産劇となりました。

倒産の余波でAIGなどの大手金融機関も経営危機に陥り、金融市場が信用収縮に見舞われたことでドルの流通量が低下しました。

ドル不足により、ドルと関連性が強い通貨は一様に影響を受けましたが、その中でも韓国のウォンが最も大きな影響を受けることになりました。

結果的に2008年9月からウォン相場は急落し、韓国政府は企業の海外投資自粛などの外貨規制を敷くことになりました。

韓国通貨危機が韓流ブームの火付け役?

2021年現在、KPOPや韓国コスメなどが日本の若者を中心に人気ですが、実はこの潮流は韓国通貨危機がプラスに作用した結果とも言われています。

2008年秋~2009年の韓国は一時期のウォン高時に比べて50%も為替レートが減少したため、旅行会社が韓国への格安旅行キャンペーンを大々的に打ち出すきっかけになりました。

それに便乗したマスメディアが韓国特集などを組んだことでドラマなどのコンテンツも注目されることになり、韓国文化のPRを後押しすることになりました。

韓銀砲がネットスラング化した理由

市場介入・為替介入に公的な圧力が働くのは、日本でいうところの日銀砲など、比較的メジャーな手法です。

韓銀砲も為替対策としては間違った方法ではありませんが、日銀砲などと比べた時の手法の稚拙さからネット民から嘲笑を受け、スラング化してしまいました。

韓銀砲のどこがまずかったのでしょうか?要因を解説します。

理由①介入のタイミングがワンパターン

韓国銀行の市場介入のタイミングが、定時定刻におこなわれる、防衛ラインに到達するとおこなわれるなど、個人の投資家からすぐ見破られる法則性があったのが大きな原因です。

韓銀の市場介入タイミングがわかれば投資家は相場の推移を予測できるので、ピンポイントで狙うことが出来ます。

経済対策で投資家からピンポイントで狙われるような政策は稚拙と表現され、場合によっては却って傷口を広げる結果になりかねません。

韓銀砲はウォン防衛に一定の効果を得ましたが、実は手を出してはいけない国民の年金積立金を使ったという噂もあり、必ずしも成功だったとは言い切れません。

理由②ワロス曲線の誕生

ワロス曲線

韓銀の介入タイミングが一定だったことから、米ドル/韓国ウォンのチャートパタンが極端な上昇と下降を繰り返す珍しい形になりました。

この形がネットスラングの「W」に似ていたことから、俗にワロス曲線などと言われています。

この時のワロス曲線のインパクトは強く、全く韓国経済と関係ない局面でもW字のチャートパターンが発生すると、韓銀砲炸裂などと書き込まれることがあります。

韓銀砲がその後の韓国経済に与えた影響

韓銀砲によって韓国経済は持ち直したとも言われていますが、この通貨危機は2021年現在まで韓国経済に影響を与えているとも考えられます。

ここからは、通貨危機を皮切りに韓国経済がどう変化したのか、独自のレポートも踏まえて解説していきます。

ウォン安ドル高でも韓国のメリットは少ない

前提として、現在のウォン安ドル高構造が加工工業を得意とする韓国の産業界にとって必ずしもプラスではありません。

中小の町工場を国内に抱えている日本と違い、韓国は世界から部品を安く輸入して加工・輸出する構造を取っています。

加工貿易が強い国は本来、自国通貨安の状態であるほど利益は大きくなります。しかし韓国の場合は、材料費も高騰するのでメリットが少ないのです。

  • 日本:国内の安い部品を組み立て(円安)→海外に高く売る(ドル高)
  • 韓国:国外の高い部品を輸入して組み立て→海外に高く売る

韓国は国内に中小規模の工場が少ないため、自国通貨安だから製品を安く製造できる訳ではありません。

韓国経済は国際社会で年々地位を上げていますが、部品を輸入している日本への防衛機赤字は毎年10兆ウォンを超えるのも産業構造が大きな要因となっています。

韓銀砲の失敗を補いうために海外から借金

NYのハゲタカファンドが2005年あたりから日本や韓国の為替にターゲットを絞って攻勢を仕掛けていましたが、日本は日銀の猛烈な介入によってハゲタカファンドを退け、約2000社のファンドを倒産に追い込みます。

これが、俗にいう日銀砲です。

一方、韓銀砲はワロス曲線と呼ばれる稚拙なパターンでの介入をおこなっていたため、チャンスだと思ったハゲタカファンドが一斉に韓国ウォンに襲いかかります。

これには日本への攻勢を諦めたファンドも入っていたため、一気に敵が増えて数兆ウォンの損失を被ってしまいます。

前述のように国内の予算に手を出したとも言われますが、結果的に韓国政府はドルなどの外貨を約10兆円分借りることでその場をしのぎます。

ただ、サムプライムローン問題の影響による歴史的なウォン安時期にドルを借りたため、現在は為替レートがドル高方向へ値上がりしており、借金が膨らんでしまっています。

日本・アジアからの支援を得られなかった

安定通貨である円の確保も韓国は考えましたが、チェンマイ・イニシアチブに基づいたスワップの上限があるため、日本を含むアジア諸国からの大規模な援助を受けることができませんでした。

また、韓国金融危機と同時にアメリカも経済的に大きな危機を抱えていたため、日本政府は自国の利益を考えて、アメリカにより大きな援助をする方針を決定しました。

この日本の方針は韓国内でも議論され、日本に対する悪感情の一因にもなっています。

韓国経済には新たなリスクも【2021年最新】

韓国金融危機を乗り越えて躍進した韓国ですが、韓国内ではバブル経済の真っただ中であり、近いうちに崩壊するという声も少なくありません。

2021年現在は新型コロナが収束に向かい始めており、世界的に景気回復が予想されており、各国はインフレ対策の準備に動いています。

一方、韓国はすでに株価や不動産価格が大幅な高騰を見せており、更に利上げが起こればバブルは崩壊すると考えられています。

これは文在寅政権の不動産政策が失敗したことに端を発した問題ですが、長い目で見ると韓銀砲の失敗も要因の一つになっています。

現在の韓国経済の動きを注視すれば、10~20年間の経済が政策によってどう影響するのかを間近に知ることが出来るでしょう。

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