スワップポイントはFXでポジションを長期保有することによって、毎日得られるポイントです。
金利差の大きい通貨ペアであればある程スワップポイントが高くなる為、国内では南アフリカランド円・メキシコペソ円・トルコリラ円などの、新興国通貨と組み合わさっている通貨ペアで運用するのが主流です。
今回はトレーダーの夢でもある「スワップポイントでの生活」は可能なのか解説します。
ポジションを保有するだけで利益が得られるシステムなので、実現できるのであれば初心者でも簡単に不労所得を得られます。
スワップポイント運用でのリスクや、おすすめの通貨ペアなども紹介するので参考にしてください。
スワップポイントとは?スワップで利益を得る方法とメリット・デメリットを解説
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このページのもくじ
スワップポイントでの生活は可能だが現実的に厳しい
結論から言うと、スワップポイントでの生活は現在かなり厳しい状況です。
約10年前の2011年頃までは、高スワップポイントで有名なトルコリラ円でのスワップ運用が人気でしたが、現在チャートは右肩下がりになっている為、高スワップポイントを得ても為替変動幅で大損失を引き起こしてしまいます。
上記の様にトルコリラ円以外の高スワップポイント通貨ペアもレート状況が安定していない為、スワップポイントでの利益だけで生活するのは不可能です。
新興国通貨が安定していない
新興国通貨は、新しく出来た通貨で円より高い金利を提示しています。
よって円と新興国通貨の組み合わせは、金利差が大きく発生し高スワップポイントを得られます。
しかし新興国通貨を取り扱っている国は治安や政治状況が安定しておらず、国のトラブルによって暴落するリスクがあります。
2021年現在、新型コロナウィルスの感染拡大により新興国通貨を取り扱っている国々は、金利を下げたり経済不況による暴動などが頻繁に発生したりして、非常に不安定な状況にあります。
(ブルームバーグ): トルコのエルドアン大統領は、新型コロナウイルス感染者数が過去最多となる状況に対応し、今年の夏季休暇シーズンに向け新たな制限措置を導入した。感染拡大が抑制されない場合はさらに厳しい措置を取る可能性も警告した。
エルドアン氏は閣議で対応策を協議後、2週間の都市間移動禁止のほか、平日の夜間外出禁止の2時間延長、5月中旬までカフェやスポーツ施設を閉鎖するなどの措置を指示した。
引用元:YAHOO!JAPANニュース
世界的に経済情勢が不安定な時期は、新興国通貨は売られるケースが多く、スワップポイント目的に購入しても新興国通貨の価値が下がり続けてしまう為、儲けられない状態になります。
為替変動による損失リスクが高い
高スワップポイントを提供している、通貨ペアはマイナー通貨ペアといってトレーダー参加者が少ない傾向にあります。
トレーダー参加者が少ない場合、変動が激しくなる可能性が高く、為替変動が安定しません。
レート変動が右肩上がりになっていない状況でのスワップ運用は、スワップポイントを得られても為替変動による損失が大きく、結果資産を損失してしまいます。
1日に貰えるスワップポイント
1日に貰えるスワップポイントをFX会社ごとに紹介した表は下記の通りです。
1日に貰えるスワップポイント(2021/05/31時点) | ||||
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FX会社名 | 南アフリカランド円 | トルコリラ円 | メキシコペソ円 | 米ドル円 |
LIGHT FX |
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みんなのFX |
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LINE FX |
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高スワップポイントを提供しているFX会社は、トルコリラ円のスワップポイントが43円/日と高めに設定されています。
主要通貨ペアで人気の米ドル円でもスワップポイントを数十円程得られる状況にありますが、生活する為に必要な資金を稼ぐには膨大な投資金が必要になります。
南アフリカランド円は5~8円/日
南アフリカランド円は平均して1日10,000通貨あたり5~8円スワップポイントをもらえます。
レートが低く、1通貨単位=約5円で取引されているので、少額資金で運用できます。
南アフリカランド円のスワップポイントはLIGHT FXが比較的高スワップポイントで提供しています。
トルコリラ円は40~43円/日
トルコリラ円のスワップポイントは1日10,000通貨あたり40~43円と高いです。
金利差が大きく開いている為、高いスワップポイントを得られますが、レート状況が右肩下がりで、為替変動による損失リスクが高くなっています。
またトルコリラ円は暴落が激しくレート配信停止になるFX会社も続出しているので、初心者だけでなく上級者にもおすすめできない通貨ペアです。
メキシコペソ円は6~7円/日
メキシコペソ円のスワップポイントは1日10,000通貨辺り6~7円になっています。
他の高金利差通貨ペアと比べて、スワップポイントが低めになっていますが、レートが低く相場が安定しているのでスワップ運用に適しています。
ただし、2020年のコロナショック時に一度暴落しているので、将来経済状況に影響があると同じ様に暴落する可能性が高いです。
メキシコペソは新興国通貨のなかでは優秀な通貨ですが、全体的に見るとまだ安定していないので、変動リスクは徹底して投資する必要があります。
スワップポイント生活に必要な資金
スワップポイントで必要な資金ですが、今回は「スワップポイントで生活する」ことを目的に必要資金を算出します。
1ヶ月生活するのに必要な資金額を20万円にして算出するので「20万円よりもっと欲しい!」という人は、提示している資金額より高くなることを理解しておきましょう。
米ドル円は4億9,500万円必要
【米ドル円】スワップポイントで20万円稼ぐ為に必要な資金 | |
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レバレッジ0倍 | 4億9,500万円 |
レバレッジ3倍 | 1億6,500万円 |
レバレッジ5倍 | 9,900万円 |
レバレッジ10倍 | 4,950万円 |
米ドル円は10~17円程のスワップポイントを1日で獲得できます。
今回は1日15円貰えるとして、必要資金を算出します。
10,000通貨あたり15円貰えるとして、1ヶ月で貰えるスワップポイントは、450円になります(30日計算)。
そして20万円を1ヶ月で稼ぐには、4,500,000通貨での取引が必要となります。
米ドル円の現在レートは109~110円なので、必要資金は4億9,500万円になります。
億以上の資産を利用しても20万円しか稼げないので、米ドル円のスワップポイントで生活費を稼ぐのはほぼ不可能でしょう。
ただし、上記の計算はレバレッジをかけていない状態での必要資金です。
スワップポイントの運用では低レバレッジが必須なのでハイレバレッジはかけられませんが、3倍程であればリスクを低く運用することができます。
レバレッジ3倍をかけて20万円稼ぐ計算をすると、必要資金は1億6,500万円になります。
レバレッジをかけてもかなりの金額が必要ということが分かります。
トルコリラ円は1,976万円必要
【トルコリラ円】スワップポイントで20万円稼ぐ為に必要な資金 | |
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レバレッジ0倍 | 1,976万円 |
レバレッジ3倍 | 658万7,000円 |
レバレッジ5倍 | 395万2,000円 |
レバレッジ10倍 | 197万6,000円 |
トルコリラ円は43~45円程のスワップポイントを1日で獲得できます。
今回は1日44円貰えるとして、必要資金を算出します。
10,000通貨あたり44円貰えるとして、1ヶ月で貰えるスワップポイントは、1,320円になります(30日計算)。
そして20万円を1ヶ月で稼ぐには、1,520,000通貨での取引が必要となります。
トルコリラ円の現在レートは12~13円なので、必要資金は1,976万円になります。
米ドル円に比べて数千万円の資金なので、資産に余裕のある人は可能です。
しかしトルコリラ円は約8年間右肩下がりのレート状況なので、為替変動による損失も考えなければなりません。
ちなみにレバレッジ3倍をかけて20万円稼ぐ計算をすると、必要資金は658万7,000円になります。
レバレッジ3倍での運用で資産に余裕のある人は可能な資金額になりますが、レート変動による損失を考慮すると、厳しいことが分かります。
【トルコリラ天国は終了へ】トルコリラ円はどこまで下がる?2021年の相場予想や注目すべき指標を解説
南アフリカランド円は5,187万円必要
【南アフリカランド円】スワップポイントで20万円稼ぐ為に必要な資金 | |
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レバレッジ0倍 | 5,187万円 |
レバレッジ3倍 | 1,729万円 |
レバレッジ5倍 | 1,374万円 |
レバレッジ10倍 | 518万7,000円 |
南アフリカランド円は8~9円程のスワップポイントを1日で獲得できます。
今回は1日9円貰えるとして、必要資金を算出します。
10,000通貨あたり9円貰えるとして、1ヶ月で貰えるスワップポイントは、270円になります(30日計算)。
そして20万円を1ヶ月で稼ぐには、7,410,000通貨での取引が必要となります。
南アフリカランド円の現在レートは6~7円なので、必要資金は5,187万円になります。
かなりの高額資金になりますが、南アフリカランド円の現在レートは右肩上がりの傾向にあるので、為替変動による損失を抑えることも可能です。
ちなみにレバレッジ3倍をかけて20万円稼ぐ計算をすると、必要資金は1,729万円になります。
トルコリラ円よりレート状況が安定している為スワップ運用できる環境ですが、20万円稼ぐには一千万円以上の資金が必要なので、現実的に厳しいでしょう。
【ランド円地獄で死亡】南アフリカランドの見通しと戦略を徹底解説
メキシコペソ円は5,415万円必要
【メキシコペソ円】スワップポイントで20万円稼ぐ為に必要な資金 | |
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レバレッジ0倍 | 5,415万円 |
レバレッジ3倍 | 1,747万1,700円 |
レバレッジ5倍 | 1,083万円 |
レバレッジ10倍 | 541万5,000円 |
メキシコペソ円は7円程のスワップポイントを1日で獲得できます。
10,000通貨あたり7円貰えるとして、1ヶ月で貰えるスワップポイントは、210円になります(30日計算)。
そして20万円を1ヶ月で稼ぐには、9,530,000通貨での取引が必要となります。
メキシコペソ円の現在レートは5~5.5円なので、必要資金は5415万円になります。
メキシコペソ円は新興国通貨ペアの中でもレートが安定している優秀通貨ペアなので、為替変動による損失リスクを低くして運用できます。
しかし5千万の資金は現実的ではなく、一般トレーダーで数千万円用意するのは難しいでしょう。
ちなみにレバレッジ3倍をかけて20万円稼ぐ計算をすると、必要資金は1,747万1,700円になります。
レバレッジを3倍かけた状態でも一千万以上必要なので、スワップポイントはおまけと考えて運用したほうが効率良く利益を出せます。
高スワップポイント通貨ペアの今後の見通し
高スワップポイントを提供している通貨ペアの今後の見通しを紹介します。
2020年のコロナショックによって相場が不安定になっている新興国通貨と円を組み合わせた通貨ペアですが、ワクチン接種の拡大により経済回復の予兆もあります。
今後スワップ運用しようと考えている人は参考にしてください。
トルコリラ円は上昇する可能性がある
トルコリラ円は2021年6月現在、12円台まで低迷している状態です。
2020年の年末に金利政策が改善されて一時期15円台まで上昇したものの、2021年3月頃を境に再び下落傾向に戻っています。
5年間のチャート推移をみると、下落の動きは抑えられておらず、底が見えない状態です。
一方で、新型コロナウィルスに関するポジティブなニュースや今後上昇していくと予想するアナリストがいます。
トルコリラを取り扱っているトルコはファイザー社のワクチン接種が始まっており経済正常化を目指しています。
そしてトルコの経済力を考えると、12円台から極端に落ち込む可能性は無いと予想されています。
メキシコペソ円はコロナショック後から安定期に突入
メキシコペソ円は2016年11月まで下落傾向にあり、最安値更新後は5~6円台のレンジ相場になっていました。
2020年の新型コロナウィルス拡大によって、市場全体がリスクオンの状態になり、メキシコペソ円は4円台まで下がりました。
コロナショックで4円台の最安値を更新してからは、米国大統領選挙でバイデン氏が選ばれた事により徐々に回復し、5円台で変動している状態になっています。
メキシコペソ円は、他の通貨ペア同様コロナショックの影響をうけましたが、近年投資家から人気を得ていることから回復傾向にあります。
取引金額も年々増えており、2016年までは40~50位台になっていましたが、2020年では11位まで上がってきています。
投資家達の参入も増えてきた通貨ペアなので、流動性が高くレンジ相場を続けているメキシコペソ円は、スワップ運用に適している通貨ペアです。
メキシコペソ円が5円台で推移していることもあり、少額資金からスワップ運用可能なので、スワップ運用初心者にもおすすめできます。
南アフリカランド円は財政再建の状況によって変化
南アフリカランド円は2010年から下落傾向にあり、2020年のコロナショックによって最安値の5円台を更新しています。
コロナショックの影響で金利下げの可能性も想定されていますが、インフレ見通しが目標範囲内の為、大きな金利下げをおこなう可能性は低いです。
南アフリカランドは金利政策よりも、財政再建の状況が相場に影響する可能性が高く、政府の構造改革に注目です。
もし南アフリカランドが国外に構造改革を示すことができれば、7円台の南アフリカランド円も上昇する可能性が高まります。
メキシコペソ円での運用はリスクを軽減できる
リスクを抑えて利益を得るスワップ運用方法で、おすすめの通貨ペアはメキシコペソ円です。
スワップ運用のみの利益で生活するのは現状難しいですが、月5万円程度の収入であればローリスク運用で稼げるので、参考にしてください。
メキシコペソ円は他の高スワップポイント通貨ペアに比べて、レートが安定しており、コロナショックによって一時暴落していましたが、2021年現在は安定しています。
5年間のチャート推移を見てもレンジ相場が続いていることが分かります。
更にメキシコペソ円は1ペソ辺り約5円で取引できるので、米ドル円といった主要通貨ペアより安い証拠金で運用できます。
1ヶ月5万円のスワップポイントの利益を得ようと考えた場合、レバレッジ3倍で必要な資金は3,969,000円程になります。
比較的安定している通貨なのでリスクを少しあげて、レバレッジ5倍で運用したとすると必要資金を240万円程度に抑えられます。
少額運用は不可能ですが、現実的な金額で投資できる上にレートも安定しているので、スワップ運用したい人におすすめです。
スワップポイントで稼ぐにはどうすれば良い?儲かる戦略・ポイントを紹介
スワップポイントで生活するリスク
スワップポイントで生活するには様々なリスクを抑えて運用しなければなりません。
生活する費用をスワップポイントですべて稼がないとしても、リスクは徹底して抑える必要があるので注意しましょう。
レート変動幅による損失
スワップポイントを貯めるには、ポジションを保有しておく必要があります。
ポジション保有時の価格と決済時の価格に変動がある場合、変動幅による損益が発生します。
価格が上がっている場合は変動による利益を得られますが、価格が下がっていると損失決済になります。
スワップポイントを貯めても価格の下落によって損失すると、スワップポイントの利益から引かれるので注意しましょう。
最悪の場合、スワップポイントと相殺することができずマイナス決済になることがあります。
スワップ運用している時は、常にレート状況の確認をして、為替変動幅による損失が大きくなる場合は、損切りして資産を守りましょう。
ロスカットリスク
スワップポイント目的の投資は、ロスカットリスクもあります。
為替変動によるマイナス損益が証拠金を超えるとロスカットになります。
各FX会社によってロスカットの基準は異なりますが、ロスカットになると持っているポジションを強制決済されるので、口座に入れている資金をすべて失う恐れがあります。
ロスカットを回避するには、余裕のある証拠金を持ってレバレッジを抑えて運用することがポイントです。
実効レバレッジとレート変動を確認しながら、ロスカットにならないように管理しましょう。
スワップポイント生活は損失リスクに注意
スワップポイントのみで生活することは膨大な資金が必要になるので、おすすめできません。
一方でレート変動による変動幅で利益を得ながら、スワップポイントを貯めていく方法は一番効率良く利益を得られます。
スワップポイントだけで生活していくことは不可能でも、為替の変動幅を利用すれば毎月不労所得で生活できる可能性があるので、為替変動幅と併用して運用してみましょう。