アメリカと共に世界の2超大国として注目されているのが中国です。
中国経済の動きは世界へ及ぼす影響の大きさからも注目されており、投資家も目が離せなくなっています。
今回は、中国のGDP推移と、コロナ禍以降どのような見通しが立っているかについて、詳しく解説していきます。
【2021年最新】中国経済は今後やばい?人口問題・国際化・経済格差などの課題について詳しく解説
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このページのもくじ
中国のGDP推移(1980年~2020年)
年次 | GDP(単位:10億US$) |
---|---|
1980年 | 303.03 |
1985年 | 310.15 |
1990年 | 396.58 |
1995年 | 731.02 |
2000年 | 1,205.52 |
2005年 | 2,290.09 |
2010年 | 6,033.81 |
2015年 | 11,113.53 |
2020年 | 14,722.84 |
中国のGDPは改革開放路線が始まった1980年前後から徐々に推移を伸ばしていき、2005年あたりで急激な上昇が始まっています。
2000年代はWTO加盟(2001年)など、中国が国際的なプレセンスを高めていった時期でもあり、アジアの発展途上国からの脱皮を図ったタイミングとも重なります。
2010年~2020年では2倍以上のGDP成長がみられるなど、驚異的な成長を見せています。
一人当たりのGDP推移(1980年~2020年)
年次 | GDP(単位:US$) |
---|---|
1980年 | 307.00 |
1985年 | 293.01 |
1990年 | 346.86 |
1995年 | 603.54 |
2000年 | 951.15 |
2005年 | 1,751.43 |
2010年 | 4,499.79 |
2015年 | 8,084.80 |
2020年 | 10,483.88 |
中国の一人当たりGDPも大きく成長しており、発展度の高さがうかがえます。
ただし、国際的には1人当たりGDPが1万8,000$以上なら先進国で、上位レベルの先進国なら4万$超の所得が基準と言われています。
先進国という視点から見ると中国はまだまだ発展の余地があり、国内では2035年までに1人当たりGDPを倍増させる計画を打ち出しています。
中国のGDPが急速に成長した要因
中国の成長率は1978年に鄧小平が改革開放路線を打ち出してから、約30年後のリーマンショック発生まで、毎年10%を超える成長を誇りました。
70年代後半から2000年代まで急速に成長して、2021年現在は世界2位の超大国になった理由は、大きく4つの要因が関係していると言われています。
①輸出主導の産業戦略
中国が経済成長に向けて全面に打ち出したのが、製品の輸出を中心とした産業戦略です。
安い労働力で大量に安価な製品を作り、それを海外に輸出することで利益を得てきました。
現在の日本にもメイドインチャイナが溢れているように、世界の人の生活に中国製品は無くてはならないものになっています。
②高い製造業のウェイト
上記の通り、中国は経済成長戦略の中で、製造業に高いウェイトを割いてきました。
製造業が発展すると、経常収支黒字への貢献だけでなく、サービス業やインフラなどの他シーンへの波及効果、サプライチェーンの集積、地方人材の雇用確保など、様々な面でのメリットがあります。
中国は製造業を中心に発展していったことで、上記のような波及効果を受けることができました。
③外資系企業の力を活かした輸出戦略
中国は消費欲求が旺盛な国民性と言われており、多くの外資系企業がマーケット参入を求めて進出しています。
中国は外資系企業を誘致した後、安価な人材を使って大量生産をおこない、その上で他国に輸出するという方法を取ってきました。
他国の技術力と自国の労働生産性を組み合わせて、自国の利益にしてしまうという、中国以外には真似が難しい手法です。
④労働集約型の戦略を多方面に生かす
労働集約型とは、生産要素の占める割合が低く、労働力の占める割合が高い産業の仕組みを指します。
労働集約型は生産性の低さを指摘されることが多く、現在の効率化の風潮とは真逆の路線だと言えます。
ただし、人口の多い中国では労働集約型ビジネスで安価な人材を大量に雇用することで、働き口のない人の割合を抑え、国民のベースアップをすることができました。
また、中国は日本と比較した場合の受験勉強や学歴社会の厳しさが良く報道されますが、1人にかかる期待が大きくなるため振るい落としが厳しくなり、競争が生まれるのも労働集約型のメリットの一つです。
2010年代の中国のGDPの動き
2010年代の中国は、リーマンショックまでの爆発的な成長は影を潜め、成長率を大幅に減少させています。
中国の成長率が減少した背景には、一人っ子政策による労働人口の減少と、海外先進国の保護主義の台頭の大きく2つがあります。
米トランプ政権下の保護政策でも見てとれるように、中国の台頭抑制のために内需優先を掲げて貿易に制限をかける強気のリーダーが先進国で増えており、中国は割を食う形になっています。
2020年12月に開催された中央経済工作会議では、内需の強化戦略を打ち出して、国内経済と国際経済の循環を促進するという考えを標ぼうしています。
中国が産業の大きな転換を実現できるかどうかが、世界中で注視されています。
2021年以降の中国のGRC推移見通し
中国・武漢が感染源とされた新型コロナウィルスは2020年前半から世界中に感染を拡大しています。
国際社会の中では中国の感染対策へ批判の声もあがりましたが、当事者の中国は強硬的な対策も功を奏し、いち早く経済回復へと向かっています。
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強硬な感染対策で拡大を抑制している
中国は感染地域でのPCR検査や人口移動の徹底的な制限の2本柱で、感染拡大を抑制してきました。
2021年以降は局所的に感染が上昇傾向にあるタイミングもありましたが、その度により強固な対策で抑制をおこなっています。
政府の力が強い中国だからこそできたという声もあり、自由主義社会では批判の声もありますが、公表される数値としては感染の抑え込みが出来ています。
先進国の弱体化で輸出産業がより盛り上がる見込み
一方、欧米や日本などの先進国では、経済に配慮した緩やかな制限や、ロックダウン(都市封鎖)などの強硬策を敷く国に分かれています。
経済的な配慮で緩やかな制限をおこなっている国は封じ込みの予測が立てにくい状況で、逆にロックダウンをした国は経済にマイナスの影響が出ています。
早急に経済を回復させた中国が産業に再び力を入れはじめ、弱体化した先進国への輸出をより強化することができれば、中国の更なる経済成長が見込めると考えられます。
慢性的な課題をどう乗り越えるかがカギ
早期の感染抑え込みも予測され、基本的には見通しの明るい中国経済ですが、一方で以下のような慢性的課題も抱えています。
- 一人っ子政策による労働力人口の低下
- 大気汚染
- 米中対立
こうした課題が今後の成長のネックとなる可能性は十分あり、どう解決していくかが大きなカギとなります。
緩やかな成長にシフトできるか注目
中国が大きく発展した要因である人口の多さや安価な労働力を使った経済成長は、中国の人口減少や輸入過多に対する欧米先進国の危機感の上昇などがあり、今後も継続しにくい状況におかれています。
今後の中国経済は、発展途上国タイプの爆発な成長から抜け出して、以下に安定成長へシフトできるかがカギになってくるでしょう。
中国のGDPの高さは嘘なのではないかという声もあるように、発展の裏には課題も多くあります。
今後の中国経済がどう転換していくかは、世界経済に及ぼす影響の高さを考えても注目すべきポイントです。