相場分析には多彩な方法が存在しますが、FX初心者がまず覚えなければいけないのが、チャートをパターン分析する方法です。
FXには複数のパターンがあり、相場が当てはまると直後に相場が変動する・特定のトレードで勝ちやすいなどの分析をすることが出来ます。
チャートパターンの中でも代表的なもので汎用性の高いものが、フラッグとペナントです。
今回は、混同されがちなフラッグとペナントの違いから、取引に活用する方法まで分かりやすく解説していきます。
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フラッグとペナントの形の違い
フラッグ・ペナントはトレンドが継続する時に良く現れるチャートパターンで、特定の値幅に上値と下値が収まるという点では同じです。
ただし、フラッグとペナントでは値幅の特徴が少し異なります。
フラッグは直近と値幅が同じ
フラッグは上値と下値に平行なチャネルラインを引けるのが特徴のチャートパターンです。
つまり、上値から下値、下値から上値への値幅が基本的には変わらないという特徴があります。
ラインは水平ではなく、上昇フラッグなら少しずつ下がりながら保ち合いが続き、下から入った場合は上抜け、上から入った場合は下抜けで収束します。
上昇トレンド中のものは上昇フラッグ、下降トレンド中のものは下降フラッグと呼ばれます。
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ペナントは直近の上値を超えず下値を下回らない
ペナントもフラッグと似たチャートパターンですが、直近の上値・下値を超えることはなく、どんどん収束していって三角形を形成するのが大きな違いです。
ペナントで徐々に値幅が狭まっていくと、上にも下にも行けなくなって抜けていきます。
また、良く見ると上昇フラッグは僅かに下降トレンドと作っているに対し、上昇ペナントは切り上がり続けているのも注意すべきポイントです。
こちらもトレンドの向きによって上昇ペナント、下降ペナントと呼び分けられます。
フラッグ・ペナントを活用する前に知っておきたいこと
フラッグ・ペナントはトレンドが発生している中では比較的よく起こるチャートパターンです。
出現頻度の多い形ほど活用して取引を成功させるのが難しく、トレーダーの注意が必要となります。
フラッグやペナントを活用する前に整理しておくべき内容をここから紹介します。
フラッグ・ペナントの発生はトレーダーの行動が影響
フラッグ・ペナントのように強いトレンドの中でも違う方向へ一時的に動く状況を、調整局面と呼びます。
調整局面が起こるメカニズムを上昇トレンドの仕組みから整理すると、以下のようになります。
- 多くのトレーダーが買い注文:トレンドの勢いが増して伸びる
- 勢いに関わらず特定のトレーダーが売り注文:トレンド中に一時的な停止が起こる
トレンド中にほとんどのトレーダーが買い注文をすれば、トレンドは伸び続けます。
その中でフラッグやペナントが起こるのは、トレンドの伸びに関わらず売るトレーダーがいるからです。
これは主に、スキャルピングなどで利確までの期間を短くとっているトレーダーが当てはまります。
つまり、短期トレーダーの利確のタイミングがつかめれば、どこでフラッグやペナントが発生するかの予測を立てることが出来ます。
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フラッグ・ペナントが長いほど突き抜ける力は強い
もう一つ覚えておきたいのが、フラッグ・ペナントなどの保ち合い相場が起こっている期間が長いほど、突き抜けた後の相場の勢いは強いということです。
保ち合い相場では相場が小まめに動くので、順張り・逆張り注文が入ってきて、ポジションがどんどん増えていきます。
決行な数のポジションは保ち合い相場を抜ける時に損切り決済されますが、これが相場を押し上げる動力にもなります。
時間足・日足を使って分析する
フラッグ・ペナントを探すなら、秒足・分足はおすすめしません。
フラッグやペナントに似た形は比較的表れやすいため、短い足を参考にするとダマシに引っかかりやすくなってしまいます。
1時間足以上の長い足で、かつ普段エントリーポイントを探しているよりも長く設定するのがポイントです。
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形と一致しているかは最重要ではない
FX初心者が注意したいのが、「上昇トレンド中に上値・下値で平行ラインを引けたらフラッグ」というように、形が一致していれば必ず当てはまる訳ではないという点です。
フラッグに関しては、上値・下値が平行というだけでなく、最終的に突き抜けて強いトレンドに戻るというのが最も重要なポイントです。
ただ、形がフラッグと同じでも、強いトレンドに戻らないケースがあります。相場の動きは数えきれないパターン・パターン化すらできない無数の動きがあり、たまたま同じような形になる可能性はかなり高いです。
形が合っているか、平行ラインを引けるかだけで判断をするのは危険で、他の指標も併用して強い根拠を持つことが大切です。
フラッグ・ペナントの狙い目と取引方法
フラッグ・ペナントの確認方法が分かったら、次にどこを狙えば良いか知る必要があります。
フラッグ・ペナントはトレンドの間の保ち合い相場なので、トレンド継続を前提としたトレードをすることで利益に繋げるのが鉄則です。
ここからは、フラッグ・ペナントを活用したトレードのポイントのやり方を解説していきます。
フラッグの狙い目と活用法
フラッグを活用したFX取引のポイントは、以下の通りです。
- フラッグの最も低い下値から損切りラインを引く
- 平行ラインをブレイクしたところにエントリーポイントを置く
- フラッグの最も高い上値から利食いラインを置く
- トレンドがどこまで伸びるかを予測して、第2の利食いライン(目標ライン)を置く
損切りラインとエントリーポイントの考え方は、そこまで難しくないと思います。
フラッグがブレイクした後にどれだけ利益を伸ばせるかは、利食いラインをどこに設定するかが大きく影響します。
ここで重要なのは、フラッグの最も高い上値からラインを引くだけでなく、大きく伸びると予測して目標地点にもラインを引くことです。
フラッグは緩やかな下降傾向となるので、第一の利食いラインだけでも利益は期待できます。
ただ、大きく上を取りたい時などは、希望に合わせた柔軟な対応が求められます。
ペナントの狙い目と活用法
ペナントの考え方は、フラッグとそこまで大きく変わりません。
ただし、損切りラインの置き方は異なるので注意が必要です。
ペナントは上値と下値が狭まり、我慢できなくなって抜ける仕組みです。
そのため、下値が限界まで狭まる地点で下抜けすると、前提が崩れる=利益が見込めなくなるので、この地点に損切りラインを置きます。
フラッグ・ペナントを活用するメリット
フラッグ・ペナントを実際の取引に活用することで、高い勝率のトレードに繋げることができます。
フラッグ・ペナントを活用する具体的なメリットについて解説します。
エントリーポイントが分かりやすい
フラッグ・ペナントは上抜け・下抜けしたタイミングでエントリーポイントを置くということさえ分かっていれば、エントリーで悩むことはほぼありません。
どこでエントリーするかはFXでは判断に迷う部分ですが、フラッグ・ペナントを活用すれば初心者でも明確な根拠を持てます。
トレンド把握の勉強になる
トレンド相場で調整局面が起こるというのは、FX初心者ならまず知っておきたい原則となります。
強いトレンド傾向でも常に伸び続ける訳ではなく、違う動きをするという実態は、実際に相場を何度もチェックすることで理解できるようになります。
チャートパターンの中でも分かりやすく、初心者が中級者へ脱皮するために使いこなせるようにしておきたい部分です。
フラッグ・ペナントを活用する際の注意点
フラッグ・ペナントを活用するトレーダーは多数いますが、取引で使うにはいくつか注意したいポイントがあります。
特に初心者は勢いに任せて判断せず、注意点をしっかり抑えておきましょう。
フラッグ・ペナントの発生確率は低い
フラッグ・ペナントは前提として、トレンド相場でしか発生しません。
レンジ相場で似たような形が発生した時に、勘違いすることの内容にしましょう。
相場はレンジが全体の7割ほどで、トレンド相場が発生するシーンが3割ほどと少ないので、常に期待できるチャートパターンではないことを理解しましょう。
エントリーはブレイクアウト後を狙うのが無難
フラッグやペナントは最終的にトレンドへ戻ることが分かっているのだから、早めにエントリーしたほうが利益は伸びるのでは?と考える方が多いです。
ただ、ブレイクアウト前に確信を持ってチャートパターンに当てはまると予測するのは、プロでも100%出来る訳ではありません。
エントリーした直後にトレンドが崩れたり、別の形になったりするリスクは常に存在します。
経験や自信がないなら、ブレイクアウト前にエントリーしないことをおすすめします。
保ち合い相場内のトレードに注意
フラッグやペナントはブレイクアウト前も保ち合い相場内で一定の法則性で動くので、これを利用すれば利益を積み上げられるのでは?と考える方が多いです。
しかし実際には、保ち合い相場内では早く動く上に損切りが難しく、更に形が崩れるリスクがあるので、特に初心者にはおすすめしません。
まずはブレイクアウト後にしっかりトレンドに乗ることを覚えましょう。
フラッグ・ペイントは見つけたら逃さない意識を持つ
フラッグ・ペイントは基本的なチャートパターンと呼ばれる割に、タイミングに乗っかれば勝ちやすいものでもあります。
この形が現れたら、逃さず確実にトレードする意識を持ちましょう。
簡単に見えて、実際のチャート上で判断するのは意外に難しい部分もあります。まずは過去のチャートやソフトを使って形に慣れながら、実戦でも使える状態にしておきましょう。