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FXとは?

FX業界はオワコン?FXの人気低迷・業者の撤退・倒産が続く理由と将来の見通しについて解説

1998年~2005年のFXブームから月日は立ち、2021年現在FXはかつてほどの人気は無くなっています。

レバレッジ規制の強化や新規参入に関する法律の整備が進んだことで少しずつ顧客離れが起き、近年ではビットコインなどの仮想通貨に人気が集中していることもあり更に陰りを見せています。

投資家の間では、FX=オワコンと見切りをつけて、新しい投資に挑戦する方も多いです。

業績の悪化によって撤退・破産する業者も続々と増えている中で、このままFXを続けていて本当に良いのか不安がる方も多いでしょう。

今回は、FXの人気が低迷している理由と実際の状況、今後の将来性について分かりやすく解説していきます。

※本ページにはPRが含まれます。

FXがオワコンと言われる背景

FXがオワコン・もう稼げないと言われるのは、金融庁による法改正の影響と、FX以外の新しい投資方法が盛り上がってきたという2つの要因が大きいです。

ここからは、“FXオワコン化”の背景をそれぞれ見ていきましょう。

➀解禁当初のイメージが払拭できない

FXは1998年の為替法改正によって国内解禁され、投資家の身近な投資運用先として一気に定着しました。

当時は先物会社や証券会社、FX専門の取引業者の参入が激増し、投資家の選択肢も非常に多い時代でした。

一方で、取り締まる法律がないままFXブームが来たことで、解禁当初のFX業界は顧客への過剰勧誘や資金の持ち逃げなど悪質なトラブルも多数起こっている状況でした。

FXの新規参入状況

そこで金融庁は2005年7月に金融先物取引法を改正して、以下の5点に規制を加えました。

  • FX会社は金融庁への登録が必須
  • 電話勧誘点訪問勧誘の禁止
  • 不適切な人の取引を認めない
  • 会社の資本金に制限を加える
  • 営業員は登録が必須

この法改正を潜り抜けてFXサービスの提供を続けている業者は規制前のダーティなイメージの払拭に取り組み続けていますが、当時のイメージのままにFX=怖い・安全ではないと認識している一般層は非常に多いです。

②レバレッジ規制の厳格化

FX離れの決定的な要因が、レバレッジ規制の強化です。

1998年の解禁当初はレバレッジの規制が無く、数百倍のレバレッジをかけた取引で一夜にして大金を掴む人・破産に追い込まれる人が続出しました。

FXのハイリターン性に惹かれる投資家は劇的に増え、当時の世界のFX総取引高の50%を日本のトレーダーが占めていました。

しかし、市場全体の動向・FX取引の仕組みを考えるとレバレッジが大きいのは圧倒的に業者が有利な構造ある実情を危惧した金融庁は、2010年に最大50倍のレバレッジ規制を実施。

その後、2011年には現行の最大25倍のまで規制され、FXのギャンブル性は大きく薄まりました。

国内FXのレバレッジ規制の歴史
年代レバレッジ規制
1998年~2005年400倍が標準設定※規制なし
2005年~2011年最大50倍
2011年~最大25倍

2018年頃から国内FXのレバレッジ規制を最大10倍まで引き下げる検討も金融庁内部でおこなわれています。

2021年6月時点で規制強化は実施されていませんが、将来的に実施される可能性は極めて高いと考えらます。

レバレッジ規制はトレーダーの資産を守るために有効な制度ですが、FX=一攫千金を狙える取引というイメージは投資家の間で薄れていき、規制強化の度にFX離れが起こっています。

為替金利の硬直や下落のリスク

FXの人気が以前ほどではないのは、2010年台半ばから現在までの為替相場の状況も大きく関係しています。

取引額は2012年から4年連続で増加していましたが、2016年のイギリスEU離脱で為替相場が大きく変動したことで既存の投資家はFX取引に慎重になり、更なる変動を警戒するトレーダーの増加で新規参入者が減りました。

あまり知られていませんが、イギリスのEU離脱をきっかけにFX関連業者の撤退が相次ぎ、FX業界の規模は以前の約半分まで縮小しています。

2016年を境に新規トレーダーの参入は為替変動のリスクを警戒して減りましたが、中級者以上のトレーダーからは当時もFXへの根強い支持がありました。

そもそもFXは為替の大きな変動に乗じることで利益が最大化されるので、中級者以上のトレーダーは値幅の荒いポイントを狙って短期取引をおこなうケースが多いです。

ただし、過去10年はアメリカ、日本などの先進国の金利は低金利で横ばい状態が続く上、トルコリラや南アフリカランドなどの新興国通貨の見通し不明な状況が相次ぎ、FXは過去に比べると“稼ぎにくく、損しやすい”という認識が定着してしまっています。

暗号資産への流出

為替相場の値動きが微弱になる中、大きな利益が見込めると話題になったのが仮想通貨などの暗号資産です。

2020年12月時点で世界の世界人口の2%弱が保有していると言われる仮想通貨が爆発的に人気を集めた理由は、以下の3つです。

  • 24時間365日取引ができる
  • 値動きの幅が大きい
  • 将来性の高さ

仮想通貨の取引は管理市場を介さずインターネット上でおこなう仕組みなので、土日祝日でも取引ができます。

また、仮想通貨は新しい市場なので力関係が安定しておらず、大口投資家が売買することで全体の価格に影響を与えることもあります。

更に、仮想通貨は世界中の大手マスコミから関心を持たれていることもあり、煽情的な報道によって相場が変動するケースも頻繁に起こります。

仮想通貨は法定通貨や電子マネーと違い、従来の送金速度などを上書きできるステータスを持っているため、技術革新によって今後はより幅広い使い道が期待されています。

将来を考えて仮想通貨を保有しておくこと自体に価値があるという状態はしばらく続くと考えられます。

FXには将来性がある!これからもFXを選ぶべき理由

FXの将来性については、専門家の間でも意見がかなり分かれています。

少額で始めてハイリターンを狙えるというFX本来の魅力が規制で減少していますが、為替市場そのものは今後も永久的に存続し続けるという安心感があります。

FX取引で生計を立てている方などは、今後FXが無くなるのでは?という不安に駆り立てられていることでしょう。

ただ、FXはこれからも高い将来性が見込める上、暗号資産や株式投資にはない長所も残り続ける可能性が高いです。

ここからは、「ユアFX」編集部が分析した、FXに将来性がある理由を解説していきます。

理由①2種類の分析スタイルを利用できる

テクニカル分析とファンダメンタル分析

FXの最大の特徴は、2国間の政策金利差を利用しておこなう投資取引という点です。

国の政策金利は政治・経済の動向や文化的・軍事的イベントによっても変動します。

チャートの動きだけでなく、各国の動向もチェックしなければいけないのがFXトレーダーの大変なところであり、利点でもあります。

FXトレーダーの中には、テクニカル分析は苦手でもファンダメンタルズ分析中心で収益を出している方が多くいます。

株式投資でもチャートの値動きだけでなく企業全体の動きを分析する手法はありますが、FXの場合は国際ニュースなどを通して、簡単に情報収集できるのが強みです。

FXの取引手法とは?初心者でもわかりやすいトレードスタイルや分析方法を解説

理由②セキュリティ面の信頼性が高い

近年、国内でも仮想通貨取引システムでの情報不正流出事件が報告されていますが、仮想通貨は各企業が開くインターネットの取引システムで取引をおこなう分、セキュリティの脆弱性が不安視されがちです。

また、仮想通貨は実態のないデジタル通貨なので、ハッキングによって残高が0になるリスクも十分考えられます。

一方で株式投資やFXは実際の通貨が動く取引なので、仮想通貨のようなハッキング被害を心配する必要はありません。

理由③投資家としての成長が見込める

FXは投資の中でも原始的・本質的な内容なので、投資初心者がスキルを磨きたいならまずFXから始めるのがおすすめです。

自分でエントリーした結果が掛け値なしですぐに損益に反映されるので、直前の取引の反省・改善をしやすい、投資の感覚を磨きやすい環境下でトレードができます。

株式投資などは買ってから数日~数週間経って結果が反映されるので、スピーディに取引方法を改善することができません。

また、市場の閉場時間が決まっているのもFX初心者におすすめなポイントです。

投資初心者は、様々な時間帯の相場をチェックしながら取引することで経験値を積むことができます。

その点、株式投資は9~15時が基本の取引時間なので、副業投資家は相場の動きをじっくり見るのが難しいです。

仮想通貨は24時間365日取引できますが、塩梅を知らない初心者のうちは相場にかじり付き過ぎてしまうので、逆におすすめできません。

FXは土日に市場から強制的に離れる必要がある分、効率化や戦略が必要になるので、短期間で相場勘を身に着けられます。

一般的に投資家と呼ばれる人は、FX、株、仮想通貨などの投資取引を一通り実施しているケースが多いですが、最初の一歩としてFXから始めるのがおすすめです。

理由④実践的な取引のコツを簡単に見つけられる

FXは書籍やYouTube、ブログなどで多くのトレーダーが取引のコツを紹介しており、初心者も簡単に学習することができます。

株式投資なども様々なコンテンツが出回っていますが、基本的にはリアルタイムで好調な銘柄を見つけて取引するという仕組みなので、例えば1年前に紹介されたおすすめ銘柄が今も稼げるわけではありません。

一方、FXはブログで通貨ペア・自動売買ツール・設定方法・取引時間…など、詳細に取引方法を紹介しているパターンが非常に多いです。

「簡単に稼げる」という錯覚を抱かせるようなコンテンツも中にはありますが、具体的な取引のコツを勉強しやすいのは初心者にとって魅力的なポイントです。

FXは50年~100年後どうなる?3つの視点で大胆予測

FX取引は長期的な視点で見て、どのように変化していくのでしょうか?ここからは、主に3つの視点からFXの数十年後の将来を予測していきます。

コツコツ積み上げる自動売買タイプが主流になる?

FXは裁量トレードと自動売買の2種類の取引方法があり、専業トレーダーと呼ばれる方の多くは裁量トレードを使用しています。

一方で、自動売買は搭載されているシステム通りのトレードや、実際にFX業界にいる有名トレーダーのコピー取引や、世界的な経済アナリストの分析を戦略化したトレードを勝手に実施してくれるのが魅力です。

ひまわり証券・アイネット証券が提供する自動売買ツール「ループ・イフダン」は、一定値幅のイフダン注文を自動で繰り返すことで、低リスクのイフダン注文を自動で繰り返すことが可能です。

ループ・イフダン

1回あたりの利益は大きくありませんが、口座を持っておくことでコツコツ利益が積み上がるのは大きな魅力です。

レバレッジ規制が強化されて短期で高額を稼ぐのが難しくなった場合、ループイフダンのように低労力・低リスクで、長期視点で利益を積み上げるスタイルが主流になっていく可能性があります。

FX会社の付帯サービス競争が激化する?

FXは裁量トレードの場合、業者が取引手数料をもらうケースはほぼありません。

この場合、実質的なFX会社の利益は買値と売値の差(スプレッド)になるのですが、2021年6月現在は大手FX会社が軒並み最狭水準のスプレッド幅(米ドル円のスプレッド:0.2銭)に設定しており、各社はコスト以外の魅力付けを実施しなければ採算が取れない状況になってきています。

会社名スプレッド(米ドル円)
DMM FX0.2銭
LINE FX0.2銭
SBI FXトレード
  • 1000通貨単位以下(0.09銭)
  • 10000通貨単位以上(0.17~7.8銭)
ヒロセ通商「LION FX」0.2銭
外為どっとコム0.1銭(キャンペーン中)
外貨ex byGMO0.2銭
マネーパートナーズ0.3銭
GMOクリック証券0.2銭
JFX0.2銭
FXプライムbyGMO0.3銭※1shot50万ドル以下の場合
楽天FX0.2銭

大手FX会社の一画のマネーパートナーズは、銀行よりも安い手数料で両替できるサービスや、世界で利用できるプリペイドカード「マネパカード」を提供するなど、他社との差別化を積極的に図り、顧客増加に繋げています。

マネパカード

マネーパートナーズの成功をきっかけに、今後はFX取引+αのサービスが普及していく可能性が高いです。

AIの発展で個人投資家はより厳しい状況に?

テキストマイニングAI
みんなのFXはRefinitiv社(旧トムソンロイター社)のテキストマイニング技術を活用し、為替ニュースを元にした機械学習で取引を行う自動売買ツールの提供を開始した。

FXは基本的に選んだ通貨ペアの政策金利差の推移を予測して当たれば利益を得られますが、同時間帯にエントリーしているトレーダーの数が多かったり、予想が偏っていたりすると、値動きにも直接影響します。

市場全体で見ると、勝っている人と負けている人が常に一定数いるように出来ているのがFXの特徴です。

2021年現在、大手ファンドが開発したAIが実績を急速に上げ始め、FXにも本格的に参入してくる可能性が高いです。

AIのビッグデータは個人の投資家を遥かに凌ぐ量なのはもちろんですが、FX取引は短時間での判断力・瞬発力が必要になる分、感情になびかないAIは非常に有利です。

AIが大儲けした結果、損をするのは個人の投資家やその他のファンドです。「AIが発展しても裏をかけば良い」と言う専業トレーダーがいますが、人間では到底及ばないほどAIの技術が発展したら一体どうなるのかまでは、専門家でも予測がついていません。

時代と共にFXへ求めるポイントは変化する

解禁当初のFXは危険性も持ち合わせながら、一攫千金を得られることに魅力を感じた有象無象のトレーダーが参入しました。

現在のFXは当時ほどの利益率はありませんが、投資の中でも取引方法が比較的確率しており、成熟した投資に変化してきています。

今後もFXの魅力は時代に応じて変化していく可能性が高く、トレーダーは変化に応じる柔軟性が必要になってきます。

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