FXの話でよく出てくる「フィボナッチ」ですが、どのような意味なのか具体的に知らない方も多いのではないでしょうか。
フィボナッチとは、イタリアの数学者レオナルド・フィボナッチが研究していたことから名づけられたある規則性のもと並んでいる数列です。
高校で勉強した方も多いフィボナッチ数列ですが、フィボナッチ数列が導き出す黄金比率がFXにも応用でき様々なテクニカル分析で活用されています。
このページではフィボナッチ数列を用いた具体的なテクニカル分析について紹介していきます。
FXのテクニカル分析とは?2つの種類と初心者におすすめの手法・分析時の注意点を徹底解説
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このページのもくじ
FXのフィボナッチとは
フィボナッチ数列とは、どの数も前の2つの数字を合計した値になる数列です。
具体的には「1、1、2、3、5、8、13、21、34…」と続いていく数字です。
例えば前から3番目の数字は、ひとつ前の「1」と2つ前の「1」を足して「2」というように計算します。
また、4番目の数字を計算するときも、ひとつ前の「1」と2つ前の「2」を足して「3」というように計算します。
FXのテクニカル分析で上フィボナッチ数列を求める必要はありませんが、後程紹介するフィボナッチ・リトレースメントは上記の考えを根底にしていますので、理解しておきましょう。
フィボナッチ比率
フィボナッチ比率とはフィボナッチ数列を発展させたもので、為替レートの分析方法に活用する際に使用する比率です。
フィボナッチ比率はフィボナッチ数列のそれぞれの数を定めた規則性のもと割り算して算出します。
例えば、フィボナッチ数列「1、1、2、3、5、8、13、21、34…」のそれぞれの数字を1つ後ろの数字で割り算すると以下のとおりになります。
1 ÷ 1 = 1
1 ÷ 2 = 0.5
2 ÷ 3 = 0.67
3 ÷ 5 = 0.6
5 ÷ 8 = 0.625
8 ÷ 13 = 0.615
13 ÷ 21 = 0.619
21 ÷ 34 = 0.618
34 ÷ 55 = 0.618
55 ÷ 89 = 0.618
上記のように計算を続けていくと0.618に収束し、この収束した値をパーセンテージに変換した「61.8%」がフィボナッチ比率の一つです。
上記のように、フィボナッチ数列「1、1、2、3、5、8、13、21、34…」のそれぞれの数字を2つ後ろの数字で割ったり1つ前の数字で割ったりすると、ある一定の数字に収束する性質があり、収束した結果をパーセンテージに変換した値のことをフィボナッチ比率といいます。
フィボナッチを用いたテクニカル指標
ここまではフィボナッチ数列について解説してきましたが、ここからはフィボナッチ比率を用いたテクニカル分析の手法について紹介していきます。
実際にFXトレーダーはどのような手法でテクニカル分析を行っているのでしょうか。
トレーダーがよく使っているフィボナッチ比率を用いた分析方法について4つの手法を解説します。
- フィボナッチ・アーク
- フィボナッチ・エクスパンション
- フィボナッチ・タイムゾーン
- フィボナッチ・リトレースメント
上記の手法は全てフィボナッチ比率を使用したテクニカル分析ですが、使用に適したタイミングや活用方法が異なりますので、一つずつの特徴を確認していきましょう。
フィボナッチ・アーク
フィボナッチ・アークとはフィボナッチ比率を用いて押し目の目安となるポイントを表示するテクニカル分析ツールで、フィボナッチ比率を円弧上に表示することから押し目の目安となるポイントが時間とともに変化します。
そのため時間の概念がないフィボナッチ・リトレースメントで予測できない為替レートの上昇・下落のタイミングを予想できるツールです。
フィボナッチ・アークは主に押し目買いや戻り目の基点を探す際に使われることが多く、フィボナッチ比率の38.2%、61.8%、100%の3本を表示して基点を探すことわかりやすいため、初心者にはおすすめの手法です。
フィボナッチ・エクスパンション
フィボナッチ・エクスパンションとは上昇と下降を繰り返しながら上昇していくトレンドの反発点を探す際に使用されるテクニカル分析ツールで、主にトレンドフォローの決済ポイントを探るときに使用します。
フィボナッチ・エクスパンションは反発点を探すことを目的にしているため、上昇や下降、安値や高値がハッキリしている相場で効果を発揮しやすいツールです。
世界中のドレーダーは61.8%、100%、161.8%の3つのフィボナッチ比率を活用して利益確定のポイントを探っています。
フィボナッチ・タイムゾーン
フィボナッチ・タイムゾーンは上昇や下降の起点となった安値・高値を起点にフィボナッチ数列の間隔で垂直線を引くテクニカル分析ツールで、波の折り返し地点に目安をつけるものです。
安値・高値を起点にタイムゾーンを引くことため、チャートにタイムゾーンを引き時は起点がある程度明確になるタイミングまで待つ必要があります。
実際にタイムゾーンを引くときは「2」「3」のあたりの値動きは終わっているため、基本的には「8」や「13」の値動きの目安をつけたいときに使用します。
フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントはトレンド発生時の押し目と戻り目となる目標価格を推測するために使用されるテクニカル分析ツールです。
トレンドは一直線に動くわけではなく、押しや戻りの動きを繰り返しながら変動していきますので、押し目や戻り目を判断できるとエントリーするタイミングが掴みやすなりますので、多くのトレーダーはトレンド発生時にフィボナッチ・リトレースメントを活用している方が多いです。
他にもサポートラインやレジスタンスラインとしての機能として活用している方もいます。
FXでフィボナッチといえばフィボナッチ・リトレースメント
一般的にFXで「フィボナッチ」といえばフィボナッチ・リトレースメントのことで、フィボナッチ比率を用いたテクニカル分析の中では最も有名です。
実際に多くのトレーダーが使用しているテクニカル分析の手法の一つで、信頼度も高いです。
フィボナッチ・リトレースメントはフィボナッチ比率を用いたテクニカル分析の中で特に重要度が高いため、次の項目で実際の使い方など詳しく紹介していきます。
FXフィボナッチ・リトレースメントの使い方
フィボナッチ・リトレースメントはトレンド時の押し目や戻り目の目安となるポイントを可視化する手法です。
ここからは実際にフィボナッチ・リトレースメントを活用する方法について紹介していきます。
フィボナッチ・リトレースメントの活用方法は以下のとおりです。
- FXフィボナッチ・リトレースメントのラインの引く
- 押し目と戻り目を予想する
- トレンドを見極める
- サポートラインやレジスタンスラインを確認する
一つずつ詳しく解説していきますので、確認しましょう。
FXフィボナッチ・リトレースメントのラインを引く
フィボナッチ・リトレースメントは上昇トレンド・下降トレンドの起点になったポイントを起点として、最も安値または高値になったポイントを終点に基準線を引きます。
終点は、一番安値または高値になったポイントにしますので全員共通になりますが、視点の見極めについては人によって異なるので、誤ったところを視点にしてしまいますと意図されないところにフィボナッチ・リトレースメントを合わせてしまい効果が発揮されないので、ご注意ください。
始点がわからないという方はZigZagというインジゲーターを利用すると、自動でトレンドの起点となった高値安値を表示してくれますので、視点選びに困らないでしょう。
ラインが引けたら0.0%、23.6%、38.20%、50.0%、61.80%、100.0%の5つのフィボナッチ比率のポイントに目安ラインを引き、押し目や戻り目の目標値を算出します。
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押し目と戻り目を予想する
フィボナッチ・リトレースメントは押し目ともどり目を予想するために使用するテクニカル分析ツールなので、トレンド相場が上がり下がりするタイミングを見極めるのに活用できます。
上昇・下降トレンドでは、前述した方法でレートに引いたライン上で反発することが多く、特に38.20%、50.0%、61.80%のライン上で反発するといわれています。
強いトレンドが出ている場合は調整が弱くなる傾向にありますので、23.6%、38.20%で反発することが多いです。
トレンドを見極める
為替レートは小さな上昇と下降を繰り返していきますが、調整が弱い時は上昇・下降の伸びも小さくなるケースが多いです。
反対に50.0%など大きな調整があった後は反発も大きくなる傾向がありトレンド転換しやすい傾向があります。
そのためフィボナッチ・リトレースメントを活用してトレンドの発生を見極めることができます。
事前にトレンドの発生を推測できると高い利益を出せますので、フィボナッチ・リトレースメントを用いて分析してみましょう。
サポートラインやレジスタンスラインを確認する
フィボナッチ・リトレースメントは押し目や戻り目の見極めに加えて、レートの安値・高値の見極めにも使用できます。
サポートラインやレジスタンスラインを見極める方法では特に大きな時間軸で使用する場合が有効で、前述した方法で引いたラインの範囲内でレンジを推移するケースでは、実際に相場が反発したラインがサポートラインやレジスタンスラインとして機能することが多いです。
フィボナッチ・リトレースメントで引いたラインがチャンネルラインなど他の方法で引いたラインと重なるときは、さらに信頼が増すため他の手法と併せて使うのもおすすめです。
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FXフィボナッチ・リトレースメント有効活用するポイント
上記の記事ではフィボナッチ・リトレースメントの有効性について紹介してきましたが、使用方法によってはさらに有効活用できる場合があります。
以下の2つのポイントを押さえて、フィボナッチ・リトレースメントのメリットを最大限に活かしましょう。
- ローソク足の時間軸は長い方が良い
- 他のテクニカル指標を併用する
上記のポイントについて一つずつ詳しく解説していきますので確認しましょう。
ローソク足の時間軸は長い方が良い
フィボナッチ・リトレースメントは基本的に時間軸の長さによってラインが機能する期間が異なります。
時間軸が短いほど短期的に長いほど長期的に機能する傾向がありますので、フィボナッチ・リトレースメントを長く強く機能させるためには、日足や週足で活用することが重要です。
しかし、経済指標が発表された後、トレンドの上昇・下降が明確な場合は短時間での分析も有効です。
フィボナッチ・リトレースメントはトレーダーの心理によって相場が変化することを予測する手法なので、トレーダーの思惑がある程度予測しやすい経済指標の発表後はかなり有効にアプローチできます。
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他のテクニカル指標を併用する
フィボナッチ・リトレースメントは手法がシンプルな分、他のテクニカル指標と併用しやすく特にラインを引くような分析ツールとの相性が良いです。
例えば高値・安値の水平ラインやチャンネルラインなどで引いたラインとフィボナッチ・リトレースメントで引いたラインが重なる場合は、相場が反発する可能性が高くなります。
テクニカル分析を活用し始めた方でも活用しやすく、信頼度も高いので初心者にもおすすめの手法です。
FXフィボナッチ・リトレースメントを使うときの注意点
フィボナッチ・リトレースメントも過信しすぎてしまったり、正しくラインが引けていなかったりすると誤った推測をしてしまうなどリスクがあります。
もちろん、適切に活用できると押し目・戻り目が推測できるなどメリットはありますので、リスクを理解したうえで活用して大打撃を受ける可能性を抑えましょう。
フィボナッチ・リトレースメントを使うときの注意点は以下の2つです。
- 過信しすぎない
- 他のトレーダーと始点を合わせる
過信しすぎない
これまでの記事ではフィボナッチ・リトレースメントの有効性について紹介してきましたが、FXでは必勝できるツールは存在しませんので信頼しすぎるのはリスクがあります。
全てのケースにフィボナッチ・リトレースメントが有効に働いていれば全ての取引が成功しているはずで相場は違う動きをしているでしょう。
実際にフィボナッチ・リトレースメントはありますので、過信しすぎてしまうと相場が予想と違う動きをした場合に大打撃を受けてしまう可能性があります。
フィボナッチ・リトレースメントで引いたラインについては、あくまで参考値として捉えておきましょう。
他のトレーダーと始点を合わせる
フィボナッチ・リトレースメントでは多数のトレーダーが活用している分析手法の一つで、実際にフィボナッチ・リトレースメントで出したラインを意識して取引する方が多いため、引いたラインの近辺で相場が変動するといったトレーダーの心理を活用した分析手法です。
そのため多数の他のトレーダーと同じ起点を活用しないと機能しない可能性があります。
起点を合わせるのに慣れるまでは起点を流動的に動かしてみて、実際に変動するポイントとラインを合わせる練習をしましょう。
また、前述したとおり始点がわからない場合はZigZagというインジゲーターを活用してみてください。
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FXフィボナッチを活用して有利に取引しよう
フィボナッチ・リトレースメントはフィボナッチ数列を用いて、相場の動きを予測するテクニカル分析の一つです。
トレンドの発生や押し目・戻り目を推測する際に有効な手法で、多くのFXトレーダーが活用している手法です。
活用方法も非常に簡単で他の分析手法と掛け合わせて使用することで、高い信頼性を発揮しますので初心者でも簡単に実践できます。
ぜひ、フィボナッチ・リトレースメントを活用して有利に取引をしていきましょう。