FXの取引回数・タイミングは、トレーダーの戦略によって変わります。
- 短いスパンで売買:損切りをしながらコツコツ利益を積み上げる
- 長いスパンで売買:チャートを分析し、相場を読んでトレードをする
FXのトレードスタイルはエントリー(取引開始)から注文までのスパンの長さで区別されます。
短いスパンで売買する時は自律と判断力が、長いスパンで売買する時は相場の分析力が重要になるというのが基本的な考えです。
どのトレードスタイルが良いかは取引環境や目標、トレーダーの性格によって異なるので、一概には言えません。
では、FX初心者はトレードスタイルをどんな基準で選べばよいのでしょうか?
主な4種類のスタイルの説明とともに、自分にあったスタイルを見つけるポイントをわかりやすく解説していきます。
【FX初心者】FXの始め方とは?初心者がチェックすべき稼ぎ方・やり方と失敗を防ぐ方法
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このページのもくじ
FXの4種類のトレードスタイル
FXのトレードスタイルは主に4種類に分かれます。
- スキャルピング
- デイトレード
- スイングトレード
- ポジショントレード
トレードスタイルによって必要な資金や向いている人、メインで利用すべき分析手法が変わってきます。
トレードスタイル | トレード時間 | 分析手法 |
---|---|---|
スキャルピング | 数秒~数分 | テクニカル分析 |
デイトレード | ~1日 | テクニカル分析 |
スイングトレード | 数日~数週間 |
|
ポジショントレード | 数か月~数年 |
|
トレーダーの性格や取引の時間帯も合わせて最適なトレードスタイルを選択することで戦略が噛み合って、利益が出せるようになります。
スキャルピング
スキャルピングとは、超短期で取引を繰り返す手法です。
1回の取引で得られる利益は大きくなりませんが、小さな利益をコツコツ積み上げることで莫大な利益を達成するトレーダーも多数います。
数秒に1回のペースで取引をして、1日あたりの取引回数が100回近いトレーダーも存在します。
スキャルピングで利益を得るなら、長時間チャートにかじり付いて分析できる時間の確保がまず必要です。
また、売買タイミングを短いスパンで判断していく必要があるので、思い切りの良さがあり、経験や自信もあるトレーダーにおすすめの手法です。
FXのスキャルピングとは?手法の特徴・勝つコツと注意点を分かりやすく解説
スキャルピング手法は推奨されていない
スキャルピング手法の禁止を明言しているFX会社はほぼありませんが、どのFX会社も一般的にはスキャルピングを推奨してはいません。
主な理由は、以下の2点です。
- カバー取引が対応しきれない
- サーバーの負担が増えてしまう
カバー取引とは、FX会社がおこなう通貨の調整です。
基本的にはトレーダーが10万円分の米ドル円をFX会社から購入したら、FX会社は銀行や証券会社から同額の米ドル円を仕入れて補填します。
トレーダーの購入した通貨ペアが高騰した場合、FX会社はトレーダーに利益を支払わなければいけないので、損をします。
しかし、カバー取引で同額の通貨ペアを補填しておけば、金利推移に応じてFX会社の保有する通貨も増減するので、トレーダーに支払う利益分をカバーすることができます。
スキャルピング手法で高速売買をするとFX会社のカバー取引が間に合わない可能性が出てくるため、リスクが生じます。
また、多くのトレーダーが一定の時間帯で注文を多数おこなうと、FX会社のサーバーに大きな負担がかかり、不具合の発生によって多くのトレーダーが損失を被る可能性もあります。
スキャルピングを推奨しているFX会社は少ないですが、以下の5社は比較的短期の売買にも対応しています。
- JFX
- ヒロセ通商「LION FX」
- FXプライムbyGMO
- GMOクリック証券
- みんなのFX
デイトレード
デイトレードは、ポジション(建玉)を1日のうちに決済するスタイルを指します。
デイトレードでは、ポジションを必ず決済することで1日単位のリズムを作ることが大切になります。
1日単位で取引を完結させることで、前日の状況を引きずらずに次の取引を進めることができます。
ただ、必ず1日でポジションを決済するためにはトレーダーの強い自制心が必要になります。
例えば、どれだけ上昇トレンドで買いポジションを保有していたとしても、自分のルールに基づいて日が替わる前に決済し続けられるトレーダーは決して多くありません。
大きな利益を追い求めたいタイミングもあると思いますが、1日で取引を完結するルールを徹底することで大きな損失を防ぐことにつながり、より長期でトレードし続けることでトータルの利益を拡大させることが出来ます。
FXデイトレードのやり方とは?基本的な手法と稼ぐコツ・注意点
スイングトレード
数日~数週間をかけて1回の取引をおこなう手法で、チャートの性質に合わせた周期で取引をすることで利益を得ることを目的としています。
チャートはある程度の周期で変動の波があり、その波を狙って利益を得るのがスイングトレードです。
相場の波の生じ方は通貨ペアによっても異なるので、トレンドの表れやすい通貨ペアを選ぶのが重要です。
FXの通貨ペアとは?初心者におすすめの通貨ペアの特徴とおすすめできない組み合わせを紹介
決済までに時間の猶予があるので、毎日頻繁にチャートを確認できないトレーダーにもおすすめの取引スタイルです。
ポジショントレード
ポジショントレードは、数か月~数年で1回の取引をおこなう方法です。
一回あたりの取引で得られる利益を最大限増やせるかどうかが重要で、長期間で大きな値幅を狙う取引のため、スワップポイント重視で通貨ペアを選ぶのが一般的です。
ポジショントレードは保有期間が長くなる分、10銭程度の含み損なら巻き返せることも多いです。
含み損がどんどん大きくなることに不安を覚えて損切りしてしまうトレーダーも多いので、ポジショントレードにはある程度の度胸も必要になります。
トレードスタイルと相性の良い相場分析の手法
FXの相場分析の手法は、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の大きく2種類に分かれます。
テクニカル分析はチャートの値動きの法則性を見つけて分析する手法で、スキャルピング・デイトレードなどの短期取引で重要になります。
ファンダメンタルズ分析は各国の経済成長率やGDP、政策、要人発言などの動向から金利の動向を読み解いて分析する方法で、スイングトレード・ポジショントレードなどの中長期取引で用いられることが多いです。
トレードスタイルと分析方法の相性はあるものの、長く利益を出しているトレーダーはスタイルに関わらず2つの分析手法を使い分けていることが多く、どちらも使いこなせる必要があります。
ここからは、それぞれの分析手法について詳しく解説していきます。
テクニカル分析
取引ツールで表示されるチャートには現在の値動きと過去の値動きが示されており、過去のパターンから類似性を見つけて将来の動きを予測してトレードをおこなう方法です。
チャートの中でもメジャーなローソク足チャートはローソク(実体)部分とヒゲ部分で構成されており、始値・高値・安値・終値の4つの価格情報と陽線(値上がり)・陰線(値下がり)の組み合わせでデータを分析します。
ローソク足の時間軸が分単位の場合は分足、日単位の場合は日足のように、時間幅を変えることで違う視点から分析することもできます。
テクニカル分析は、系統別にいくつかの手法に分類されます。
系統 | 内容 | 主な手法 |
---|---|---|
トレンド系 | トレンドフォロー(=順張り)で取引をする |
|
オシレーター系 | カウンタートレード(逆張り)で取引をする |
|
総合系 | 通貨ペアの性質などから分析をする |
|
テクニカル分析に慣れると、いつ注文をすればいくら勝てるか/負けるかがパターン分析できるようになります。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、各国の金利の動向を分析してチャートの推移を判断する分析方法です。
ファンダメンタルズ分析は、以下のような指標をチェックして判断していきます。
- 経済成長率
- 物価変動
- 政策金利
- 政策・選挙など
- 人口推移
- 災害・紛争など
- 貿易収支
- 失業率
- 要人発言
FXは2国間の通貨(通貨ペア)の金利差を利用した取引なので、選択している2国の動向を分析する必要があります。
しかし、多くのFX初心者は片方の通貨に日本円を選ぶので、ペアで選択する国の分析に注力すれば問題はありません。
リーマンショックやスイスフランショック、トルコリラの暴落など、テクニカル分析だと予測できない経済イベントもファンダメンタルズ分析なら予想可能です。
長期スパンで取引をする場合は、ファンダメンタルズ分析を取り入れて長期的な見通しをつけておくのが大切です。
初心者はテクニカル分析から学習する
FX初心者はトレードスタイルに関わらず、まずはテクニカル分析を学習するのがおすすめです。
好況の国も政策金利は常に右肩上がりではなく細かく変動をしているので、ファンダメンタルズ分析だけでは不十分なケースも多いです。
また、将来の経済予測を立てても、現在の経済状況が理解できなければ具体的にいくら勝てるか、今から取引を始めるのが得策か判断できません。
テクニカル分析の学習はデモトレードを通じて、実践で学んでいくのがおすすめです。
FX初心者が最適なトレードスタイルを選ぶコツ
FXのトレードスタイルは、性格や生活リズム、取引環境などを総合的に判断する必要があります。
FX初心者がトレードスタイルを選ぶ時にチェックすべきポイントを、1から紹介していきます。
ライフスタイルをチェックする
スキャルピングやデイトレードなどの短期売買は、チャートをチェックする時間を確保する必要があります。
仕事で19時に帰宅をして、それから取引をする場合は4時間ほどしか確保できません。
4時間限定でスキャルピングをしても利益は限定されますし、デイトレードならエントリーチャンスを見つけるのも困難です。
一方、スイングトレードやポジショントレードなら常にチャートを見ておく必要はないので、副業トレーダー向けのスタイルだと言えます。
FX取引に時間の取れない方が一定の時間を要するトレードスタイルを選んだ場合、帰宅後に寝ようにも寝られず、本業に支障が出たり、大損を被ったりする可能性が高いです。
本業がある方でも形態上、スキャルピングやデイトレードが可能な方もいます。自分のライフスタイルを振り返った上で、適しているトレード方法を見つけましょう。
時間と資金の余裕をチェックする
時間も資金も余裕のある方なら4つのトレードスタイルから好きなものを選択できますが、多くの専業トレーダーは短期間で大きな利益が狙えるスキャルピングやデイトレードを選択します。
スキャルピングは低リスク・低リターンのトレードスタイルなので、資金が少ない方にも向いています。ただ、時間のとれない会社員にはおすすめできない手法です。
スイングトレードやポジショントレードは1回あたりの利益は大きいですが、損失も大きいので資金が少ない方にはおすすめできません。
- 資金に余裕のある会社員:長期トレード
- 資金に余裕がない人:短期トレードで資金を確保する
つまり、資金も時間的余裕もない方がFXで稼ぐのは、仕組み的に難しい部分があることを理解しておきましょう。
資金・時間がない状況で副業トレードを始める場合は、仕事の合間を縫ってスキャルピングをおこなうか、決まった時間でスイングトレードをおこなうのがおすすめです。
性格・価値観を振り返る
どんどん利確していく短期売買が良いか、長い目で慎重に注文をする長期売買が良いかは、トレーダーの性格によっても大きく変わります。
スキャルピングなどは数pipsの利益を狙うので、わずかな手元の狂いも命取りになります。そのため、集中力・瞬発力に自信のある方がおすすめな手法です。
一方、長期トレードやスイングトレードは分析力や論理的思考力が要求されます。
様々な情報をチェックして分析し、自分で予測結果を出して検証していく…というやり方が求められるので、知識や分析力に自信のある方しかおすすめできません。
- 短期トレードが強い人:有名個人トレーダー(与沢翼、ラファエルなど)
- 長期トレードが強い人:機関投資家、ヘッジファンドなど
それぞれのトレードを採用している有名人を比較しても、瞬発力があって自分に自信のある方は短期トレードが、しっかりした知識のある方が長期トレードが向いているのが分かります。
全てのトレードスタイルを試すのも一つの手
どのトレードスタイルが良いのか分からなかったら、全ての手法を試してみるのも一つの手です。
トレーダーとトレーダースタイルの相性はあくまで過去の事例から一般的に言われるもので、せっかちな人がスイングトレードを敢えて行うことで新しい手法が見つかる可能性もあります。
一つのトレードスタイルに捉われると、勝てないスタイルを選択しているのが失敗の原因だと気付きにくくなります。
FX取引は途中で細かい手法を精査するだけでなく、トレードスタイルから見直す機会を定期的に持つことも大切です。
また、FX初心者ならデモトレードを活用して、様々なトレードスタイルを試してみても良いでしょう。