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FXのEMAとSMAの違いは?どちらが使いやすい移動平均線なのか比較検証

FXの勉強を始めると、必ずといっていいほど、本やブログで目にするのが「移動平均線」。個人トレーダーだけでなく、プロのトレーダーにも愛用され、信頼性の高いテクニカル指標と言えます。

移動平均線は、チャート上に表示することで、視覚的にトレンドを捉えることができ、FX初心者にもシンプルで分かりやすい指標です。

ただ、シンプルであるがために、移動平均線の種類や期間などの基礎をしっかり理解せず、なんとなく使ってしまうこともあるようです。

移動平均線をうまく使いこなせるようになれば、FXトレードの強い味方になってくれること間違いなしです。

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移動平均線でよく使われるSMAとEMAとは?

移動平均線(MA)とは、過去一定期間のローソク足の終値を合計し、その数値をローソク足の本数で割った平均値を一本の線で表したものです。英語ではMoving Averageと呼ばれ、略してMAと表示されます。

この移動平均線(MA)をチャートに表示することで、上昇や下降などのトレンド方向が一目瞭然になります。

そして、ローソク足がMAの上に位置しているなら上昇トレンド、下に位置しているなら下降トレンドと考えることができます。

さらに、MAがレジスタンスやサポートの役割をすることもあります。

移動平均線(MA)には、SMA(単純移動平均線)、EMA(指数平滑移動平均線)、加重移動平均線(WMA)の3種類があります。

SMA(単純移動平均線)は一定期間の終値の平均値を結ぶ

単純移動平均線は、1960年代に開発された移動平均線で、英語ではSimple Moving Averageと呼び、略してSMAと表示されます。

SMAは、一定期間の終値の平均値を結ぶことで線になります。

例えば、期間を20と設定した場合、ローソク足は20本なので、ローソク足20本の終値の平均値になります。

EMA(指数平滑移動平均線)は直近の終値を重視する

指数平滑移動平均線は、SMAの後に開発され、英語ではExponential Moving Averageといい、略してEMAと表記します。

SMA同様、一定期間の終値の平均値を使うのですが、直近の終値に重きをおいて計算されます。

計算式は次の通りです。

{(ローソク足の終値)×α(通常2倍)+(1本前のローソク足のEMA)×(期間n-1)}÷(n+1)

海外では加重移動平均線(WMA)を使用しているトレーダーもいるようですが、いずれにしても一般的ではないので、トレードにはSMAかEMAを使うことをおすすめします。

SMAとEMAの違いとは?

移動平均線をトレードに使用したいと思った時、「SMA(単純移動平均線)とEMA(指数平滑移動平均)のどちらが正確なシグナルを出してくれるのか?」と疑問に思う人が多いようです。

「海外のトレーダーはEMAを使っているからEMAを使ったほうがいい」という意見も聞きますが、海外でもEMAを使っているトレーダーもいれば、SMAを使っているトレーダーもいるのが事実です。

移動平均線のオリジナル版はSMAですが、SMAの短所を修正した改良版がEMAとも言えます。

とはいえ、EMAがSMAより正確で使いやすい移動平均線だというわけではありません。

EMAもSMAもそれぞれ長所と短所があり、その特徴を理解したうえで、トレードに使用するのが重要です。

SMAとEMAの最大の違いは速さ

簡単に言うと、SMAとEMAの違いは、「速さ」です。EMAは、直近の終値に重きを置いて計算されるので、SMAより「早く動き、方向も早く変わる」、つまりSMAより「反応が早い」わけです。

そう聞くと、EMAのほうが良さそうに聞こえるのですが、必ずしもそうではありません。

EMAのほうが早く反応してしまうので、いわゆる「ダマシ」のサインを出してしまうことがあります。

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例えば、価格が下がった時、すぐにEMAの傾きが下向きになるので、トレンド転換のシグナルが早めに出てしまいます。

そうなると、「トレンド転換した」と判断した結果、エントリーが早すぎたり、ポジションを持っていた場合、利確が早すぎたりしてしまう場合があります。

一方、SMAは一時的な価格変動への反応はEMAより遅く、「ダマシ」のサインはEMAより少ないといえます。

サインが出るのが遅いので、SMAをトレード判断にすると、エントリーや利確が遅めになってしまうことがあります。

特に、相場の急騰や急落時には、SMAはローソク足についていけず、しばらくトレード判断に使えなくなります。

SMAとEMAはどちらが使いやすいの?

当たり前のようですが、完璧なテクニカル指標がないように、完璧な移動平均線があるわけではありません。

SMAとEMAのどちらかが使いやすいと感じるかは、通貨の種類、トレードの手法や戦略、チャートの分析方法、トレードの期間、補助に使うテクニカル指標によって変わってきます。

例えば、デイトレードやスキャルピングのようなトレード期間が短い場合は、相場の動きに早めに反応を示すEMAを採用するトレーダーが多いようです。

その場合、EMAの期間は、短期は9や10、中期は21を表示し、トレンド相場の押しや戻りの目安に使うことができます。中長期のトレンド方向を確認したいときには50や200などもよく使われます。

スイングトレードの場合は、4時間足や日足のチャートでトレードすることが多いと思いますが、長期間、ポジションを保有するので、移動平均線の反応が早すぎると、「ダマシ」に合うことが多くなります。

「ダマシ」のサインを回避するためにも、SMAのほうがスイングトレードに向いている移動平均線だといえるでしょう。よく使われる期間は20や21。短期間のスイングトレードなら機能しやすく、トレンド転換のシグナルも正確に出してくれる傾向があります。

特に、20SMAは正確なシグナルを出してくれることが多く、信頼性の高い移動平均線だと思います。標準的なスイングトレードにも使え、汎用性が高く、私も愛用している設定です。

中期なら50、長期なら100や200も人気のある期間設定です。

このように、デイトレードやスキャルピングならEMA、スイングトレードならSMAが推奨されていますが、デイトレードでSMAが使いやすいと思えば、SMAを使うことになんの問題もありません。

というのも、SMAとEMAの両方をチャートに表示してみればわかるのですが、SMAが正確なシグナルを出すときもあれば、EMAが正確なシグナルを出すときもあるのです。

それに、移動平均線だけでトレード判断をするのは、やや根拠に乏しく、トレードの精度を上げる必要があります。SMAやEMAだけでは判断しづらいところを、水平線やトレンドラインなどのライン分析や他のテクニカル指標が補うことになります。

つまり、SMAとEMAだけでトレード判断するわけではないので、結局は、自分のトレード分析や手法に合った移動平均線を使うのがベストだと思います。

自分はSMAとEMAどちらが向いているか判断しよう

移動平均線は、世界中のトレーダーが愛用しているトレンド系テクニカル指標です。

トレンドの方向や強さを見たり、エントリーや利確などのトレード判断に使ったり、レジスタンスやサポートに使うことが出来ます。さらに、ゴールデンクロスやデッドクロスの手法や有名なグランビルの法則を使ってトレードすることもできます。

SMAとEMAには長所と短所があるので、まずは自分のチャートに両方の移動平均線を表示し、自分が使っているチャート分析との相性を見てみてください、

注意点として、一旦、移動平均線の種類と期間を選んだら、設定を頻繁に変更しないようにしましょう。

正直、最適な移動平均線と期間を見つけ出すことは、かなりの時間と労力が必要になり、相場状況が変わるたびに、設定を変更しようとするのは、あまり意味のないことだと思います。

設定を変更するたびに、トレード判断にも狂いが生じ、結果、パフォーマンスにも影響が出てしまいます。そうなると、トレード判断に自信が持てなくなり、また設定を変えるといった泥沼にはまる恐れがあります。

問題なのは、選んだ期間の移動平均線なのではなく、使いこなせてないことなのです。長い間、同じ移動平均線と付き合っていくと、長所も短所も生かした使い方ができてくるので、あせらずにじっくりとトレードで使っていくことが大事だと思います。

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