円高と円安って、違いや意味合いが曖昧になって覚えにくいですよね。
円高と円安は、意味を理解しておくことで経済の様子がわかり、日本と世界がどういった状況なのかを知る手がかりになります。
経済の状況だけでなく、私達が暮らす上でお得な内容や逆に損をする内容など生活にも大きな影響を与えています。
円高と円安の違いをわかりやすく解説し、簡単に覚えられる方法をご紹介します。
この機会に覚えて、これからの生活でぜひ活用していきましょう。
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このページのもくじ
円高と円安の覚え方
世界で多くの通貨がある中で、日本円の価値は日々変動しています。
1973年までは固定相場制という形式で、1ドル360円と決められており、円高と円安という概念が存在しませんでした。
1973年4月にドルが変動相場制へ移行したことで、日本を含めた各国の通貨価値が、経済の成長や情勢に合わせて変動するようになり、円高と円安という言葉が誕生しました。
比較される代表的な例としてドル・円レートであり、1ドル100円が標準として考えられます。
円高と円安を理解しておくことは、経済の情勢を確認することにつながるため、それぞれの意味合いを理解しておきましょう。
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円高は円の価値が上がる
日本円が他国の通貨に対して、価値が上がることを円高と呼びます。
ドル・レートで例えると、1ドルあたり90円など、ドルに対して日本円が下がると円高になります。
1ドル=100円だったのが、日本円の価値が上がったことで、1ドル=90円となり、100円払わないと1ドル手に入らなかったものが、たった90円で1ドル手に入るようになったという考え方です。
一方で、円の価値が上がったということは、ドルの価値が下がったということになるため、円高に対して、ドル安と言います。
円安は円の価値が下がる
日本円が他国の通貨に対して、価値が下がることを円安と呼びます。
ドル・レートで例えると、1ドルあたり110円など、ドルに対して日本円が上がると円安になります。
1ドル=100円だったのが、日本円の価値が下がったことで、1ドル=110円となり、100円払わないと1ドル手に入らなかったものが、110円かけてようやく1ドル手に入るようになったという考え方です。
円の価値が下がったということは、ドルの価値が上がったということになるため、円安に対して、ドル高と言います。
円高と円安の覚え方を例で紹介
1ドル=100円を基準として、円が低いと「円高」、円が高いと「円安」とご説明しました。
円が低いのに「円高」ってちょっと覚えにくい人も多いのではないでしょうか。
考えるときのポイントは円の「価値」についてです。
海外のものを日本に輸入したり、輸出をする際には通貨を変動しなくてはいけないため、それぞれの国の通貨価値が重要になります。
円高と円安を間違えない、より具体的でわかりやすい例を2つご紹介しましょう。
りんごを買うときの金額の変動
一番わかりやすい例が、ものを買うときの金額で考えることです。
りんごを例にすると、昨日まで1個100円だったりんごが、今日には1個90円で売っていたとします。
1,000円払うとすると、昨日なら10個、今日なら11個買える計算になります。
今日のほうが多くりんごを購入することができますが、りんご自体が安くなったからではなく、日本円としての「価値」が上がったためです。
海外の通貨に対して日本円の通貨の価値が高くなると、通貨あたり日本円が下がってお得にものが買えるようになります。
同じりんごでも、円の価値が高くなるとたくさんのりんごを手に入れることができます。
一方で、円安になると、日本円の価値が下がるため、仕入れた同じ1つのりんごに対して120円がかかったりし、同じ1,000円でも買えるりんごが少なくなります。
ドルはシーソーの関係
片方の椅子に円、片方の椅子にドルが乗っているシーソーをイメージするとドルと円の関係についてわかりやすくなります。
一般的には「円高・ドル安」「円安・ドル高」といった呼び方をするので、合わせて覚えておくといいでしょう。
円高と円安を覚える上で大切なことは、通貨同士の価値を比較しているということです。
経済状況に合わせて通貨の価値は常に変動し、シーソーは動きっぱなしになっていることがポイントです。
円高・円安が起きる原因
日々通貨の価値が変動していますが、円高や円安はなぜ起きるのでしょうか。
ここで考えるべきポイントは海外と交流があり、さまざまな取引があるからです。
海外と交流がなく鎖国状態なら、通貨同士の価値を比較することもないため、円高や円安は発生しません。
どういった取引があると円高や円安になるのか、原因をご紹介しましょう。
海外とサービスや商品を売買するから
日本の商品に人気があった場合、外国人からの需要が高くなれば、次第に輸出の量が多くなります。
輸出の量が多くなると、ドルなどを日本円に交換することが多くなり、日本円の需要が高くなることで円高が発生します。
一方で日本が輸入を強化したり、海外旅行者が増えれば、日本円から海外通貨に交換することが多くなるため、円安になる傾向が強くなります。
海外とサービスや商品を売買することで円の価値が変動し円高や円安が起こります。
海外のお金の貸し借りや投資をするから
海外の銀行や株価などを活用して取引をすることで円安と円高が生まれます。
輸入・輸出、サービスの売買で為替相場は変動しますが、昨今ではお金の貸し借りや投資で変動することが大きいです。
投資に関しては、日本だけでなく世界的にも資産運用をはじめる人が増えているため、今後も変動はさらに大きくなるでしょう。
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株式相場が円高・円安で受ける影響
為替相場が変動すると、輸入・輸出企業にとっても影響が出るため、為替相場が変動することで株価も変動します。
食料やエネルギー、自動車など海外とつながりが深い産業は株価が変動しやすい傾向にあります。
為替相場と株価は密接に関係しており、為替相場の変動で株価が大きく変動する企業もあります。
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円高のメリット
円高が起こると、私生活の面でお得になる情報もあります。
私たちの身の回りのものは輸入品であることも多いため、円高とは密接に関係しており、知っておくだけで生活の質が変化するかもしれません。
円高の特徴とともに、起きるメリットを2つご紹介します。
輸入品が買いやすくなる
円高になると日本円の価値が高くなるので、輸入品が安く仕入れることができます。
海外の食品やインターネットショッピングでも価格は下がり、現地の商品についてはお買い得になるのがポイントで、スーパーに行っても外国の食材は安くなっている傾向があります。
食材や商品だけでなく、日本は資源が豊かではないことから、原油をはじめとして多くのエネルギーも輸入に頼っています。
自動車の燃料が安くなる点や、暖房器具用の燃料が安くなることも魅力です。
旅行がお得になる
円高になると、海外旅行が安くなることもおすすめです。
日本円を現地の通貨に換金する際に、外貨をより多く手に入れることができるためです。
クレジットカードでも為替相場によって決済されますが、使った日が決済日ではなく数日後に処理されるため、そのときの相場になってしますので少し注意が必要です。
現地で使えるお金が増えるので、海外旅行にいくなら円高の時期に行くことをおすすめします。
円高のデメリット
円高には良いことばかりではなく、当然デメリットも存在します。
円高になることで気をつけておきたいポイントは大きく2つあります。
私生活の面で直接的に影響を及ぼすことはあまりありませんが、知っておくと良いでしょう。
日本からの輸出価格が上がる
円高で輸入がお得になるということは輸出企業にとってマイナスの影響を与えます。
海外で稼いだお金を日本円に換金する際に、円の価値が高いことで少なくなってしまうからです。
製品価格を高めてしまっては、海外で商品が売れなくなってしまうため、輸出企業にとっては業績が芳しくなくなるでしょう。
日本は輸出大国でもあるため、円高が進むと業績が下がる企業が続出してしまい、日本の経済状況は厳しい状況になります。
日本への旅行客が減少する
外国人が日本に旅行に来づらくなることです。
円安になると外貨を日本円に換金するため、換金した資に手に入るお金が少なくなってしまうからです。
旅行客が減少してしまうと観光業界に影響を及ぼすため、観光業に力をいれている地域や記号にとっては思わしくないでしょう。
旅行がお手頃に行ける一方、日本に来る外国人は減ってしまうのです。
円安のメリット
円高にメリットがあるように、円安にもメリットは存在します。
円高のメカニズムがわかると円安の特徴もつかみやすいです。
両方が両立していいことが起きないように、円安の際は円高のときに比べて逆の現象がおきます。
覚えにくいという人は円高の逆というイメージで覚えましょう。
輸出の際に円換算での売上高が増える
円高が輸入で得をしたように、円安では輸出企業にとって利益を増やすチャンスになります。
輸出企業が稼いだ金額を円換算した際に、もらえる日本円が多くなるため、売上高が向上することにつながります。
輸出を得意とする日本にとっては、業績をのばすチャンスが多くなる企業が多くなるため自然と日本の経済状況も良くなるでしょう。
多くの企業にとっては円高と円安のタイミングが業績を決める重要な要素になります。
デフレの圧力が緩和される
円高になると商品に対して貨幣の価値が上がるため、商品の値段が下がります。
デフレは物価が下落すると企業の利益が低くなるため、つぶれてしまう企業がでて不景気になるリスクもあるのです。
企業が思うように成果がでないと、従業員の給料にも影響がでてしまい、商品が安くとも消費者が節約のために、あまりお金を出さないようになります。
円高になることはデフレを引き起こしますが、円安になることでデフレの状態を緩和することができるのです。
円安のデメリット
これまで紹介したとおり、円安にも当然デメリットは存在します。
円安のデメリットも同様に円高と逆の現象が起きるので、円高でメリットだったことが円安でデメリットになります。
円安になることでデメリットになる理由をご紹介しましょう。
海外のサービスや食品が高くなる
円高の場合は、円の価値が高くなることで海外のサービスや食品がお得に仕入れることができましたが、円安になると、日本円の価値が下がってしまうため、海外通貨を日本円に換金した際に高くなってしまいます。
スーパーで見かける海外商品やサービスが値上がりしてしまうので消費者としてはあまり嬉しくないかもしれません。
サービスが高くなってしまうと、海外旅行も通貨換金の際に損をしてしまうため、円安で海外旅行に行くことはあまりおすすめできません。
輸入企業は業績が悪化してしまう
エネルギーや原料に特化している企業にとっては円安が進むことで輸入コストが高くなってしまい、業績が悪化する要因になります。
私生活の面でも、車の燃料であるガソリンの値段が高くなり、不便を感じるでしょう。
円換算額が上昇するので、海外に事業を考える企業にとっては資金が高くついてしまうこともあり、事業の拡大を見込むことが難しいです。
円安と円高はバランス崩さないことが経済を維持する上で大切なポイントです。
円高と円安の違いを理解すると日本の経済状況がわかる
円高と円安の違いは理解できたでしょうか。
為替が変動することで私たちの私生活にも影響を及ぼし、企業にとっても業績に大きく関わってきます。
円高と円安と間違いなく覚えておくことで、生活面がちょっとお得になったり、日本経済の現状を知る手がかりにもなります。
将来を見据えて投資をする人も増えており、為替の変動の仕方も大きくなるかもしれません。
経済の情報を素早くキャッチし、日々変動する為替の流れに取り残されないようにしましょう。