TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所の一部上場全銘柄を対象として算出される株価指数を指します。
TOPIXは日経平均株価と並ぶ日本の代表的な株価指標で、日本経済の動向を占う上で重宝されます。
今回は、TOPIXの特徴・仕組みから今後の見通しまでを分かりやすく解説していきます。
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このページのもくじ
TOPIXと日経平均株価の違い
TOPIXと日経平均株価は混同することも多いですが、仕組みに違いがあります。
日経平均 | TOPIX | |
---|---|---|
対象銘柄 | 東証一部上場の225銘柄 | 東証一部上場の全銘柄 |
算出方法 | 単純平均をベースに算出 | 時価総額を基準日の時価総額で割る |
特徴 | 株価の高い銘柄の影響を受ける | 時価総額の大きい銘柄の影響を受ける |
TOPIXは東証一部上場の全銘柄を元に算出されるのに対して、日経平均は代表的な225銘柄をピックアップして算出します。
また、日経平均が株価の単純平均をベースに算出されるのに対し、TOPIXは時価総額を基準日の時価総額で割って算出されます。
時価総額とは、各銘柄の株価×発行済み株式数を計算して合計した値のことです。
なお、基準日は1968年1月14日の東証一部の時価総額となります。
東証一部上場の銘柄をもとに算出する点ではどちらも同じですが、対象と算出方法にそれぞれ違いがあります。
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TOPIXと日経平均株価の推移の差
TOPIXと日経平均株価は構成銘柄や計算方法が異なるため、推移も大きく変わります。
日経平均株価は、いつも株価が高い銘柄の上昇や下落に影響を受けやすいのが特徴です。
一方、TOPIXは時価総額が大きな銘柄の影響を受けやすいのが特徴です。
時価総額は新商品の開発や国際ニュースの影響を受けて一気に上がることもあり、IT企業などが伸びることも多い指標です。
順位 | 銘柄 | 始値(円) | 高値(円) | 安値(円) | 現在値(円) | 前日比(円) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | トヨタ | 9,815 | 9,896 | 9,805 | 9,805 | -51 |
2 | キーエンス | 59,500 | 62,100 | 59,320 | 60,740 | +2,750 |
3 | ソニーG | 11,520 | 11,625 | 11,235 | 11,375 | -145 |
4 | SBG | 6,966 | 7,007 | 6,820 | 6,837 | -183 |
5 | NTT | 2,812.0 | 2,821.5 | 2,799.5 | 2,802.5 | -15.5 |
引用:日本経済新聞電子版(更新:2021/7/30 15:50)
例えば2021年7月30日の時価総額では、キーエンスがトヨタに次いで2位に位置していることが分かります。
キーエンスは時価総額で強い企業ですが、株価だと他の大手企業に引けを取ることもあります。
株価と時価総額はどちらも片方だけでは企業の価値を判断しきれず、補完的な関係にあります。
TOPIXは特定の銘柄の影響を受けにくい
日経平均株価は225銘柄のうち上位の10銘柄が動いた場合、30%動く恐れがあります。
一方で、全銘柄で構成されているTOPIXは特定の銘柄の影響を受けにくい側面があります。
特定の銘柄による影響を強く受けないということは実際の経済の動きをより正確に表しているということでもあるため、信頼性が高い指数ともいえます。
TOPIXを利用するメリット
TOPIXは時価総額という指標を用いた分析をする上で重宝される指数となります。
では、どのようなシーンでTOPIXを利用するのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
日本の株式全体の動きを見る
TOPIXは東証一部上場の全銘柄の推移なので、言い方を変えれば日本の株式市場の動きでもあります。
勘違いする方が多いですが、日本国内の株式市場は構成銘柄が絞られている日経平均株価よりも、TOPIXのほうが市場を色濃く反映しています。
業界のシェアが把握できる
時価総額は単純な企業の力を表す指標ともいえるため、業界内での特定の企業の立ち位置などを分析するのが簡単です。
業界内の時価総額を比較すると、一般的に知名度のない企業が上位5位以内に入っていることがあります。
この場合、一般知名度はなくても業界内で名が知られており、確かなシェアを誇る企業と考えることが出来ます。
海外企業との比較に活用する
算出された時価総額を用いて、海外の企業との実力差を比較分析することも可能です。
例えば、日本国内のIT最大手の楽天グループの2021年7月30日時点の時価総額は1.90兆円。
対してGoogleの親会社アルファベットの同日の時価総額は1.82兆ドル(約199超円)と、およそ100倍の差があることが分かります。
企業の安定性を判断する
時価総額が高い企業は、一般的に信頼性が高い企業と見なされます。
信頼性の高い企業には資金が集まってくるので、効率良く資金調達をすることができ、更に時価総額を増やすことが出来ます。
一方、時価総額の低い企業は投資家からの資金が得にくくなり、買収のターゲットにされやすくなります。
TOPIXを投資に活用する方法
TOPIXは日経平均株価とは違ったやり方で、投資に活用することが出来ます。
ここからは、TOPIXを投資に活用する具体的なやり方を紹介します。
中低位株の分析に活用する
銘柄には1単元辺りの株価水準が高い値がさ株(値嵩株)と、株価水準の低い中低位株があります。
中低位株は不安定性がリスクではありますが、今後大きく拡大する可能性があることを考えて投資をすれば、大きなリターンが見込めます。
TOPIXは東証一部上場の全銘柄を含むので、こうした中低位株の動きも含んでいます。
一方、日経平均株価は上位銘柄のみで構成されているので、値がさ株への投資を検討する方におすすめです。
ETFに活用する
野村アセットマネジメントの「TOPIX連動型上場投資信託」など、ETFでTOPIXに投資をすることが出来ます。
TOPIXに採用されている銘柄に分散投資が出来るので、リスクも自然と回避されます。
トヨタや三菱UFJフィナンシャルグループ、ソニーなどの有名な銘柄を選べるので、投資方法として魅力的です。
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TOPIXの過去5年間の推移を分析
TOPIXの2016年~2021年までの5年間の推移がこちらになります。
ピンポイントで価格に影響を及ぼす出来事がおこり、その際にチャートが変動しています。
ここからは、過去5年間で節目となった出来事を紹介していきます。
【2016年以降】アベノミクスで徐々に上向きに
2008年のリーマンショック、2011年の東日本大震災によって落ち込んだ株価の状況ですが、アベノミクスによってデフレから脱却し、株価も上昇傾向に転換されました。
上昇傾向は2016年から続き、そこから数年間は比較的高水準で推移しています。
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【2018 年12 月】米国株急落の影響を受ける
2018年12月に米国株が暴落した影響を受け、TOPIX指数も急落しています。
これは、同年12月18日~19日に開催されたFOMC(米国連邦公開市場委員会)で、金融引き締め政策の中断を発表したのがきっかけです。
金融引き締めに期待する投資家に失望が広がった他、明確な方針を打ち出せていなかったのではないかという金融界への懸念により米国株式市場は大きく下落しています。
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【2020年4~6月】新型コロナによる暴落
2020年3~4月は欧米で新型コロナウィルスの感染拡大が確認され、大きなニュースになりました。
これによってTOPIX指数も影響を受け、大きく下落しています。
ただし、周囲の大きな不安をよそに、4月いっぱいで底値を記録し、そこからは再び上昇推移に転換しています。
【2020年後半】ワクチンによる経済回復の期待増
日本を含む世界各国で、新型コロナウィルス対策として金融緩和の方針が打ち出されており、消費を刺激してインフレ状態となっています。
TOPIX指数も上昇は止まらず、2021年7月現在も高騰し続けている状況です。
2020年後半からはワクチン開発・普及のニュースも多く報道されたことから経済回復の期待が高まっており、高騰を更に後押ししています。
TOPIX指数は今後どうなる?2つのポイントを解説
2021年7月現在は上昇傾向を続けているTOPIX指数ですが、今後も同様の推移を見せるかは不明確です。
ここからは、TOPIX指数の今後を占う上で不可欠な2つのポイントを解説します。
➀金融緩和政策の今後
デフレ脱却のために2010年代に打ち出した金融緩和は、新型コロナウィルス対策も踏まえて意図的に期間を延長して実施されています。
その結果として消費者の購買意欲は促進されており、一部ではバブルではないか?という声も囁かれています。
リスクを踏んだこうした状況を受けて、政府が金融緩和を打ち切る可能性も十分あります。
金融引き締めに加えてコロナ禍の実体経済への影響が出てくるようなことがあれば、TOPIXにとっても大きなリスクになります。
②コロナ対策の結果
ここまでコロナ対策に力を入れてきた日本ですが、2021年7月に東京の感染者数がそれまでの最高値を記録するなど、決して対策が上手くいっているとは言えません。
どの国もコロナ禍によって見通しの見えない中、いち早く抑制をして経済回復に動ける国が経済をリードしていく可能性も十分にあります。
コロナ対策の結果がどうなっていくのかは、注視していかなければいけません。
TOPIXを活用して投資で優位に立とう
TOPIXは日本の株式市場そのものの動きや力を分析するのに適した指数で、銘柄ごとの分析にも活用できます。
更にはETFを使ってTOPIXそのものに投資することも出来るなど、幅広く活用できるのが魅力です。
TOPIXを上手に活用して、投資で優位に立っていきましょう。