FXでは為替レートの動きを予想するため、各国の経済状況に関する情報を集め経済の流れを観察することが重要です。
しかし、世界各国では様々な指標が公表されているため、どの指標を見るべきか迷っている方もいるのではないでしょうか。
そこで当ページでは、FXに関する重要指標の紹介と見方について徹底解説していきます。
FX初心者の方から中級・上級者に方も押さえておくべき重要な情報を紹介していきますので、最後までチェックしてください。
FXとは何?知っておきたいFXの基礎を初めての人にもわかりやすく解説
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FXの経済指標とは
経済指標とは政府や公的機関が発表する経済に関する統計です。
経済指標には各国のGDP(国内総生産)や雇用統計、小売売上高があり、それぞれの統計情報から各国や産業の景気状況について分析でき、FXでは為替レートの動向を予測するために重要な指標となります。
為替レートは様々な要因が関連して変動するため、経済指標を読み解き世界各国の経済情勢を分析することが重要で、経済指標の分析はテクニカル分析と並ぶほどFXトレーダーには必須の対策です。
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FXの経済指標の種類
FXで使用する各種経済指標は、それぞれ見方が違いますので読み解くのが大変だと感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それぞれの経済指標がどのような数字を表しているか理解することで、指標の変動が表している経済状況について分析できるようになります。
ここからは種類ごとの経済指標の見方と分析方法について紹介しますので、確認していきましょう。
紹介する経済指標の種類は以下の4つです。
- 雇用関係
- 景気関係
- 物価関係
- 金利関係
雇用関係
雇用関係の統計では、主に非農業部門雇用者数と失業率の2つを確認します。
農業部門は天候による変動が激しいため実際の市場で必要としている労働人口を確認するのに向いていないため、雇用関係の経済指標では主に非農業の統計を重点的に確認します。
雇用統計では雇用されている人数と失業率の2つを確認することで、企業の経営状況が把握できます。
雇用人数が上がり失業率が下がった場合は個人消費額の増加が期待でき、反対に雇用人数が下がり失業率が上がった場合は個人消費額も減少する可能性がありますので、農業部門雇用者数と失業率を確認すると経済状況の流れを予測できるでしょう。
景気関係
景気関係の統計では、主にGDPと景況感調査を確認することが多いです。
GDPとは国内総生産のことで、一定期間内での国内生産量の増減を表す指標でであり、各国の経済成長を確認できます。
GDPは速報や確定した値など数回に分けて発表されますが、アメリカでは特に速報値が最も相場に影響を与えるといわれています。
また、景況感調査とは消費者や評論家に現在の景気状況と今後の動向についてアンケートを行ったヒアリングベースで行われる調査です。
その国に住んでいる住民・経営者が経済状況をどのように感じているか確認でき、景気が良いと感じている人(景気指数)が多いと今後の消費活動が旺盛になることが期待できます。
物価関係
物価関係の統計では、主にCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)を確認します。
CPIは末端価格の変動を表す指数で小売業・サービス業の価格がどのように変化しているか確認できる数値です。
CPIは基準時を100として、次の測定値が100を超える場合は物価が上がり100を下回るときは物価が下がったことを表しています。
PPIは卸売り価格の変動を表す数値で生産者が出荷した製品や原料の販売価格がどのように変化しているか確認できる数値です。
モノやサービスの価格では、先に原料の価格が高騰し次に消費者側が購入する際の末端価格が高騰しますので、PPIはCPIの先行指標として活用されています。
ただし、PPIが変動しても必ずCPIが変動するとは限りませんので注意してください。
金利関係
金利関係の統計では、主に政策金利を確認します。
政策金利は各国の中央銀行が自国の経済状況を調査して決めた金利です。
景気が良い場合は金利が上がり、反対に金利が低い場合は金利が下がりますので、今後の経済状況に大きな影響を与える数値となります。
そのため今後の経済情勢を予測するのに使用している方も多いです。
FXで重要な6つの経済指標の見方
経済指標は世界各国で様々な情報が公表されていますが各経済指標は複雑に関連しているためポイントを押さえておくと、数種類の経済指標から経済情勢を読み解けます。
そこで数ある経済指標の中から特に6つの経済指標について紹介していきますので、見方と活用方法を覚えて為替レートの動向を予想しましょう。
FXで需要な経済指標は以下の6つです。
- 米国雇用統計
- GDP(国内総生産)
- 小売売上高
- 各種景況感指数
- FOMC政策金利発表
それぞれの見方について詳しく解説しますので確認していきましょう。
米国雇用統計
米国雇用統計はアメリカの労働省統計局が毎月公表している経済指標です。
前述したとおり米国雇用統計に関してもでも非農業部門雇用者数と失業率が注目されることが多く特に非農業部門雇用統計に関しては以下3つの理由で関心を集めいています。
- 公表頻度が高い(毎月)
- 統計調査対象が幅広い
- 公表時期が他の統計より早い
雇用統計の非農業部門雇用者数については、事前予想数値と公表数値が大きく異なることが多く、公表数値の発表直後は為替レートが大きく変動することが多いです。
公表数値が事前の予想どおりとなった場合は相場があまり変動せず、予想以上の数値となった場合は株価が上昇しドルが買われる傾向にあります。
反対に予想を下回る場合は株価が下落しドルも売られる傾向にあります。
人気の高いドルの相場も米国雇用統計に大きな影響受けることが多いため、米国雇用統計の発表日には取引高も増えることが多いです。
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GDP(国内総生産)
GDPはほとんどの国で発表されており、各国の経済規模や成長を表す指標として重要視されている指標です。
GDPは国によって公表されるタイミングは異なりますが、各国では同じ期間で計測した数値が公表されるため、指標として活用しやすい点が大きな特徴です。
GDPの公表回数も国ごとで異なり、米国、ユーロ圏は各四半期で速報値と速報値の1月後に発表される改定値、さらに1月後に発表される確報値の3回公表されるのに対し、仏、独は四半期の公表では速報値と速報値の2~4週間後に発表される確報値の2回発表されます。
上記のようにGDPは複数回公表される経済指標ですが、中でも最も注目される速報値の発表後は連動して為替市場も大きく動くことが多いです。
また、改定値や確報値も予想と大きく異なると関心が集まりますので、GDPについては公表される度に確認するとよいでしょう。
小売売上高
小売売上高は、スーパーマーケットや百貨店、コンビニをはじめとする小売業者の売上額をまとめた指標で、多くの国で公表されています。
多くの国では消費活動が経済規模の6割以上を占めており、経済動向を見ていく上では消費動向の確認は欠かせないため非常に多くの注目を集めています。
米国小売売上高では個人消費に関して耐久財と非耐久財に分類されており、耐久財は自動車製品や部品が多く個人商品の動向を確認する上で注目を集めている指標の一つですが、自動車は月ごとの販売数が大きく変動するため、指標として活用するときは注意が必要です。
米国小売売上高の中で特に耐久財が注目を集めている理由は、非耐久財は景気の変動の影響が受けにくいサービスへの消費が多く、反対に耐久財は車やテレビなど高額商品が多いため景気の影響を大きく受けるため、個人消費額から景気を確認できる重要な指標となっています。
各種景況感指数
各種景況感指数は先述したとおり景況指数が高いと景気が良く消費活動が活発に、景況指数が低いと景気が悪く消費活動が控え気味になります。
景況感指数は様々な種類の指数が公表されていますが、中でも以下の4つが注目を集めています。
- IFO景況感指数
- 米国消費者信頼感指数
- ミシガン大消費者信頼感指数
上記の指数は全て基準日の景気を100とし、数値が100を超えると景気が良く100未満だと景気が悪いとされており、指標が示す数値のわかりやすさからも注目を集めています。
他にもドイツで毎月発表されている経済指標がZEW景況感指数という指標があり、景気を楽観的に捉えているアナリストが分析しているため信頼性が高いといわれています。
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FOMC政策金利発表
FOMC政策金利は、FOMC(アメリカの金融政策を決定する会合)が発表する政策金利で、6週ごと開かれる会合で決定した内容を発功旺しています。
米国がデフレ傾向の時は金利を下げインフレ傾向の時は金利を上げることが多く、金利が引き上がると大きく買われ、引き下げがあると大きく売れるほどFOMC政策金利の発表は影響力を持ちます。
また、事前の予想がトレンドになるほど注目を集め、予想と発表が大きく異なると市場が大きく変動しますので、FXトレーダーなら必ず注目すべき指標です。
また、FOMC政策金利を決定した背景や米国の経済情報、今後の見通しなどが書かれたFOMC議事録公表は、FOMC政策金利の発表から3週間遅れて公表され、FOMC政策金利同様に高い注目が集められています。
各国でのFXに関する経済指標一覧
上記で紹介した経済指標はFXトレーダーなら必見の経済指標で、公表される前から公表値だけではなく予測値もしっかり確認する必要があります。
他にも膨大な数の経済指標が世界各国で発表されていますが、全て合わせると膨大な数になりますので、取引する通貨ペアにあわせてご自身にあった経済指標も一緒に確認すると良いでしょう。
しかし、ご自身でどの経済指標を見るべきか判断するのは難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで「円」と「ドル」、「円」と「ユーロ」のペアで取引するなら関係のある経済指標について上記で紹介したものも含めて、重要度順で紹介していきます。
米国の重要経済指標26種一覧
米国の重要経済指標26種一覧 | ||
---|---|---|
重要度 | ジャンル | 経済指標名 |
★★★★★ | 金融政策関連 | FOMC政策金利発表 |
★★★★★ | 金融政策関連 | FOMC議事録公表 |
★★★★★ | 景気関連(全般) | GDP(国内総生産) |
★★★★★ | 景気関連(全般) | ISM製造業景気指数 |
★★★★★ | 景気関連(全般) | ISM非製造業景気指数 |
★★★★★ | 景気関連(消費部門) | 小売売上高 |
★★★★★ | 雇用関連 | 雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率) |
★★★★ | 景気関連(全般) | ニューヨーク連銀指数 |
★★★★ | 景気関連(全般) | フィラデルフィア連銀指数 |
★★★★ | 物価関連 | CPI(消費者物価指数) |
★★★★ | 物価関連 | PPI(生産者物価指数) |
★★★ | 景気関連(消費部門) | 新築住宅販売件数 |
★★★ | 景気関連(消費部門) | 住宅着工件数 |
★★★ | 雇用関連 | ADP雇用統計 |
★★★ | 雇用関連 | 新規失業保険申請件数 |
★★ | 景気関連(全般) | 耐久財受注 |
★★ | 景気関連(消費部門) | ミシガン大学消費者信頼感指数 |
★★ | 景気関連(消費部門) | 消費者信頼感指数 |
★★ | 景気関連(消費部門) | 中古住宅販売件数 |
★★ | 景気関連(消費部門) | 住宅建設許可件数 |
★★ | 景気関連(消費部門) | 個人所得・支出 |
★★ | 貿易・財政関連 | 貿易収支 |
★★ | 貿易・財政関連 | 財政収支 |
★★ | 貿易・財政関連 | 対米証券投資 |
★★ | 景気関連(全般) | 鉱工業生産 |
日本の重要経済指標6種一覧
日本の重要経済指標6種一覧 | ||
---|---|---|
重要度 | ジャンル | 経済指標名 |
★★★ | 景気関連(全般) | 日銀短観 |
★★★ | 景気関連(全般) | GDP(国内総生産) |
★★★ | 物価関連 | CPI(消費者物価指数) |
★★ | 金融政策関連 | 日銀金融政策決定会合 |
★ | 景気関連(全般) | 景気動向指数 |
★ | 物価関連 | 企業物価指数 |
ユーロ圏の重要経済指標6種一覧
ユーロ圏の重要経済指標6種一覧 | ||
---|---|---|
重要度 | ジャンル | 経済指標名 |
★★★ | 金融政策関連 | ECB政策金利発表 |
★★★ | 景気関連(全般) | ドイツGDP(国内総生産) |
★★ | 景気関連(全般) | Ifo景況感指数 |
★★ | 景気関連(全般) | ZEW景況感指数 |
★★ | 物価関連 | ドイツCPI(消費者物価指数) |
★ | 物価関連 | ドイツPPI(生産者物価指数) |
経済指標の分析におすすめの情報サイト
これまで紹介してきたとおり経済指標は膨大な数がありますので、それぞれの情報を集めるのは非常に大変です。
各種経済指標の更新状況や情報を発信しているサイトを探すのに苦労している方も多いのではないでしょうか。
FXで使用する経済指標に関して、更新情報・重要度、そして次回発表される指標の予想値など一覧で確認できるまとめサイトがありますので、紹介していきます。
Yahoo!ファイナンス「経済指標情報」
Yahoo!ファイナンスが出す経済指標情報は、国・期間・重要度で絞り込みができるため、毎日大量に公表されている経済指標の中から必要な情報がすぐに見つけられます。
サイト内では、経済指標と為替レートの関連性を3段階の重要度に分けて評価しており、★3つと評価されている経済指標は必ず確認しましょう。
また、数か月に1回など頻繁に公表されている経済指標については、調べたい経済指標をクリックすると過去5年間の経済指標の数値も確認できるようになっています。
みんかぶFX「経済指標カレンダー」
みんかぶFXが提供している経済指標情報は直近1週間で公表された経済指標に関する情報を一覧できる機能がありますので、週次で数値を確認したい方におすすめ。
経済情報の重要度については5段階で評価されており、重要度が4以上の経済指標は市場に与える影響が大きいと認識している方が多いです。
また、当サイトでは過去10年間の経済指標の数値を確認でき、さらに調べている経済指標が与える為替レートの一覧やその指標が表している内容の説明が記載されているものがありますので、初心者も使いやすいサイトです。
外為どっとコム「週間予測カレンダー」
外為どっとコムが提供する経済指標情報では、「経済指標情報 – Yahoo!ファイナンス」と同様に国・期間・重要度で絞り込みできる機能があり利便性が高いサイトです。
重要度は3段階で評価しており、最も評価が高い「高」と書かれているものは必ず確認しましょう。
また、当サイトには各経済指標の解説があるため初心者におすすめのサイトです。
お役立ちコラムもありますので一度読んでみるものよいでしょう。
FXでは経済指標の見方が重要
世界各国には様々な経済指標が公表されており、FXトレーダーによって活用している経済指標は多種多様です。
数ある指標の中でも特におすすめの経済指標は以下の6つです。
- 米国雇用統計
- GDP(国内総生産)
- 小売売上高
- 各種景況感指数
- FOMC政策金利発表
ただし、どの経済指標を活用するかということも大切ですが、経済指標を正しく読み解くことが重要ですので、正確に指標を分析できる力を身につけましょう。