J-REITとは、投資家から集められた資金で不動産を購入し、ビルや商業施設、マンションなどを購入して賃料収入を投資家に分配する投資商品のことです。
不動産を利用した投資信託というイメージの強い投資方法で、仕組みはアメリカで生まれたREIT(Real Estate Investment Trust)を踏襲しています。
2020年からの新型コロナウィルスの感染拡大によって、J-REITの市況は懸念されていましたが、実際はどのような推移を辿ったのでしょうか?
今後の見通し予想も踏まえて紹介していきます。
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このページのもくじ
J-REITの今後の見通し【2021年最新】
2019年までは不動産価格の高騰によって好調推移を維持していたリート指数ですが、2020年前半に新型コロナウィルスの感染拡大により、一気に暴落しています。
その後は回復傾向をみせ、右肩上がりで推移しています。
コロナ禍でも底堅さを維持
経済活動に打撃を被った新型コロナですが、リート指数は底を打った後、急速に回復しています。
元々の賃料収益の底堅さだけでなく、eコマースやIoTなどの新しい技術の導入の恩恵も大きく関係していると見られます。
ほとんどのリート・セクターでは賃料の90%以上が引き続き徴収されており、安定感は今後も維持されると考えられます。
2020年後半にはワクチン開発・普及の見通しもニュースで報道されるようになり、強く価格を押し上げるきっかけになっています。
東京からの人口流出は一時的か
コロナ禍の不動産市場では賃貸物件の上昇を支えてきた東京の人口が地方に流出し、動向が注目されています。
この動きにより、一時的にテナント入れ替え時の賃料上昇はこれまでの+5%から+2%程度へ鈍化することを予測する専門家も多いです。
ただ、東京からの人口流出は学生のリモート学習やリモートワークなど限定的な要素が強く、流出過多の状況はワクチン普及後の2022年ころには回復すると見られます。
J-REITの仕組み
J-REITは、投資法人という仕組みで、資産保有・運用を目的とした会社の形態をとっています。
J-REITの窓口である不動産投資法人は、投資証券を発行して上場して、資金の募集と分配をおこないます。
投資証券を企業の株式に見立てると、株式投資と似たような形で出資を進められることが分かります。
実際の不動産の運用や管理、売買などは、すべて外部の資産運用会社に委託しています。また、投資家から募った資金の管理や出金なども、信託銀行に委託をしておこなっています。
投資証券を所有している投資家は株主のような位置づけになり、投資主総会で一定の意思をしますことが出来ます。
J-REITと不動産投資の違い
J-REITは、投資法人を介して間接的に不動産投資をおこなう方法です。
対して、一般的な不動産投資では投資家自身がオーナーになり、賃借料を収益として得ることが出来ます。
利益率を考えると、通常の不動産投資のほうが大きな収益を見込めるのは確かです。しかし、不動産を購入するためには多額の資金が必要となり、ローンの借入なども実施しなければいけません。
また、不動産は流動性が低く、築年数の経過による劣化に応じて自身で売却手続きをしなければならないなど、オーナーがこなす作業は予想以上に煩雑です。
対して、J-REITは証券化された一口数万円からの銘柄を購入することができます。また、運用・管理は全て外部委託されており、入居者にトラブルがあっても投資家は一切の責任を負いません。
低いリスクで少額から不動産投資を経験できるため、初心者にもおすすめの手法です。
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J-REITの収益が変動する要素
J-REITは不動産の家賃収益が利益の元となっています。家賃は景気の良し悪しによって変動しにくく、安定していると言われます。
ただし、J-REITの価格・収益が変動するリスクは、意外と多くあります。
ここからは、J-REITの収益が変動する要因をまとめて紹介します。
不動産市況・金融状況の変化
エリア内の不動産の価値が変化したら、市況も変動する可能性は大いにあります。
また、J-REITでは投資家からの出資以外にも金融機関からローンを借り入れて物件を購入しています。
住宅ローンの金利が上昇すれば利息分も分配されるため、投資家の取り分は下がってしまいます。
建物の損壊
投資対象の建物が台風や地震、火災などで損壊した場合、収支が悪化するリスクを考えなければいけません。
J-REITは建物へ実質的に投資するものなので、災害のリスクを“不確定要素”と言い切るのはおすすめしません。
投資対象を選択する際に、災害の少ないエリアを選ぶなどの工夫が必要です。
テナントの退去
物件に入っていたテナントが一斉に退去するケースもあります。
特に2020年以降は新型コロナウィルスの影響で、飲食店がごっそり撤退したテナントなども少なくありませんでした。
入居テナントが撤去すれば、賃料収入は減少してしまいます。
賃料の未納
入居者で埋まっていても、賃料の未納などがあれば十分な収益は計算できません。
通常の不動産投資ならオーナーとして対応できますが、J-REITの場合は投資家はオーナーではないので、直接的に対応できないリスクが発生してしまいます。
分配先の増加
J-REITの分配先が増資によって増加し、1口あたりの価格が減少するケースもあります。
他の投資と比べると増資で1口あたりの配当が下がるケースは頻繁に起こるため、投資する際は把握しておく必要があります。
J-REIT は今後も高い需要が見込める
空き家が社会問題になっている日本では、不動産の流動性アップは国の将来にも関わる課題と言い換えることが出来ます。
実際に国土交通省が発表した「不動産業ビジョン2030」では、J-REITを「官民の努力により、更なる拡大を続けているものと期待される。」と明言しています。
J-REITは、国・自治体の支援によって更なる拡大が見込める投資の一つです。
少子高齢化・核家族化によって日本の世帯数は減少していますが、一方で持ち家ではなく賃貸に住む人の割合は年々増加しています。
不動産市場の衰退の有無にかかわらず、J-REITは今後も成長が見込める市場と言うことができます。