あっという間に資金がなくなる事態は避けたいところですが、フラッシュクラッシュの影響によって現実になる可能性があります。
急激な値上がりは人為的なミスやコンピューターのトラブルだけでなく、他のトレーダーに市場を操作されて起こることもあるので注意するだけでは対処できません。
今回は過去に起きたフラッシュクラッシュの事例や対策を解説し、損をするトレードに参加しないための方法を紹介します。
FXとは何?知っておきたいFXの基礎を初めての人にもわかりやすく解説
※本ページにはPRが含まれます。
このページのもくじ
フラッシュクラッシュとは
フラッシュクラッシュとは、ほんの一瞬のうちに相場が急落した後に急騰する現象を指します。
値動きの激しさからトレーダーからは「瞬間暴落」と呼ばれるほどです。
値動きの急落は数秒から数分のうちに終わってしまうので、一般的な下落相場のように損切りが間に合わなくなる場合があります。
近年のフラッシュクラッシュは日本時間の早朝に発生することが多く、予測が困難な現象なので損失を招く可能性が高いです。
トレーダーの中には高額な利益を狙ってフラッシュクラッシュの発生を待つ人もいますが、基本的にはリスクが高い投資になるので避けることをおすすめします。
短時間で価格変動が激しくなる現象
フラッシュクラッシュは、短時間のうちに価格が急落した後に急騰する動きが典型的なパターンです。
ただし価格の変動は一瞬なので、すぐに元の価格に回復します。
反対に急騰してから急落するパターンの動きが起こることがあるので、どちらの動きにも警戒しなければなりません。
大損失してしまうトレーダーが続出する
フラッシュクラッシュにより損失を出してしまうトレーダーは少なくありません。
特にニューヨーク時間の夕方5時からの1~2時間にフラッシュ・クラッシュが起きやすいです。
この時間は「魔女が出る時間」と呼ばれており、FX相場全体の取引量が少なくなります。
魔女が出る時間は過去に5%以上の値下がりを記録しているので、損失額が増やしてトレーダーの被害が拡大する可能性が高いです。
フラッシュクラッシュはなぜ起きてしまうのか?
フラッシュ・クラッシュはファンドマネージャーやコンピューターのエラーにより大量の誤発注が行われて、為替相場に大きな影響を与えてしまいます。
また人為的なミスやコンピュータのミスだけでなく、作為的な手法でフラッシュクラッシュを起こすことも可能です。
ファンドマネージャーのミスで発生する
フラッシュクラッシュは過去に操作する人のミスで起こったので、ファンドマネージャーの誤操作によるヒューマンエラーが原因の場合があります。
タイピングミスのような人為的のミスを「ファットフィンガー(Fat finger)」と呼び、指先が太いことで別のキーを押し間違えることを指します。
ファンドマネージャーのファットフィンガーによるミスで注文数量を3~6桁間違えなどが起こり、間違った価格が市場を混乱させる原因になります。
大量の注文が入ったと見せかけてトレーダー達を誘導して引き起こす
FXの取り引きは大量の注文が入ったと見せかけることで、他のトレーダーたちを誘導する投資家がいます。
トレードが大きく動くことで利益を狙って市場に参入する投資家が増えたところに、まったく逆の方向に動かして損失を出させる手法です。
相場はセオリー通りに動く保証はないので、誘導されてしまうトレーダーが多い傾向にあるとフラッシュクラッシュの危険性が高いといえます。
コンピューターエラーでおきる
コンピューター取引が拡大することで、フラッシュクラッシュの原因になります。
なぜならソフトウェアの不具合などにより、マーケットの正確なデータ取得できなくなるためです。
特に相場の流動性が低い時などは過剰な反応を示しやすいです。
大量の「買い」と「売り」の注文を行うことで価格の高騰や暴落を引き起こし、フラッシュクラッシュを招いてしまいます。
実際にFXで起きたフラッシュクラッシュを紹介
実際にFXで起きたフラッシュ・クラッシュを紹介します。
どの事例も国や経済の状況が為替相場を急激に動かした出来事です。
あらゆる要因がフラッシュクラッシュを引き起こすため、通貨ペアそれぞれの国の情勢を把握することは必要不可欠といえます。
過去の事例を学び、今後のフラッシュ・クラッシュで大損しないように備えましょう。
FXで借金地獄に陥る事例とは?借金が発生する仕組み・理由と知っておきたい対処法
2016年にポンド・ドルが一時的に6%下落
2016年10月7日にイギリスのEU離脱(ブレグジット)が原因で、ポンドのフラッシュクラッシュが発生しました。
英国の国民投票でブレグジット派が勝利して3カ月が経過し、ポンド・ドルが一時的に6%下落急落した出来事です。
仏大統領がブレグジットに強行な姿勢を取ることの報道された後に大量のポンドが売却され、さらに投資銀行の誤発注で相場が急激に動きました。
電子取引が市場のズレを引き起こしていることもあり、HFTによってフラッシュクラッシュを加速させる原因になりました。
しかしポンド急落は他通貨には影響せずに、相場自体は短時間で回復しています。ちなみに実体経済には大きく影響していません。
2019年に数分でドル円が5円程下落する
2019年1月3日に米アップルのティム・クックCEOが、2018年10~12月期の売上予想を下方修正したことでフラッシュクラッシュが起こりました。
下方修正の内容は中国でのiPhone落ち込みによって、2018年10~12月期の売上予想の890億ドル~930億ドルから840億ドルにまで下げたことです。
米中貿易戦争中によって中国のアップル店舗への来店客が減り、売上が落ちたことでフラッシュクラッシュが起こりました。
後に「アップル・ショック」と呼ばれ、わずか5分程度で5円程の相場の下落する出来事として記録されます。
他の原因は「アルゴリズム取引」と「高頻度取引 (HFT) 」により、急激な動きを助長しているとされています。
フラッシュクラッシュを回避する方法
フラッシュ・クラッシュを避けるには指標発表前などのボラティリティが高くなる時は取引を避けたり、トレードに参加する人が少ない時間帯に参入しない方法があります。
フラッシュクラッシュを回避するためには市場を分析して、損失が出そうな取り引きに参加しないことが重要になります。
トレーダー参加者の少ない時間帯にポジションを保有しない
基本的にフラッシュクラッシュはトレーダー参加者が少ない時に起こりやすいので、ポジションを保有する時間帯には注意が必要です。
トレーダーが少ない市場は流動性が低いです。
つまり買い手と売り手のバランスが崩れていて、通貨の売買が成立しない状態が続いています。
特に12月中や年末年始、欧米のサマー休暇にあたる7~8月などが市場から参加者が減るためフラッシュクラッシュの原因になるので注意が必要です。
長期ポジション保有する人は低レバレッジで運用する
長期ポジションを保有する場合は低レバレッジで取引を行うと、フラッシュクラッシュによる損失額を最小限に抑えることができます。
証拠金維持率を高く保つことによって、暴落してもロスカット値まで行かず耐えることができます。
フラッシュクラッシュを完全になくすことは不可能ですが、低レバレッジでポジションを保有することでリスクを最小限に抑えられるでしょう。
ボラティリティが高くなる指標の発表前は取引を避ける
指標の発表前はボラティリティが高くなりやすく、値動きが激しくなるので取引には不向きです。
フラッシュクラッシュはボラティリティが高い状態なので、大きく損失を出してしまう可能性があります。
ボラティリティの高くなる前の取引はリスクが大きいので、指標発表の前は取り引きを避けることをおすすめします。
フラッシュクラッシュは一瞬で大損してしまう可能性があるので注意しよう
フラッシュクラッシュは数秒の間に価格が急激に変化し、多大な損失を生む可能性があるので市場の動向から目を離してはいけません。
とくにトレーダーが少ない時間はフラッシュクラッシュが起こりやすいので、市場に参加する前にリスクを考慮して投資を行う必要があります。
また急激な値上げが起こりやすい時間帯のトレードを避けなければ、他のトレーダーに誘導されて損失を出す可能性が高まるので、なるべくリスクの高い市場を避けて投資を行いましょう。