FXは証拠金と呼ばれる資金を担保にして取引をおこないます。
FX初心者には証拠金の仕組みが良く分からない方も多いですが、レバレッジやロスカットなど、FX取引で重要な仕組みにも証拠金は深く関わってきます。
証拠金に対する理解が無ければ、FX取引を安全に実施することはできません。
今回はFXの証拠金の仕組みについて、初心者にも分かりやすく解説していきます。
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FXの証拠金の仕組み
FX取引を始める際は証拠金が必要になりますが、実際の取引額に応じて最低限必要な金額が設定されています。
この、最低限必要な金額を必要証拠金と言います。
必要証拠金が最低いくらから準備が必要なのかは、レバレッジと為替レートが分かれば理解できます。
2021年現在、国内FXのレバレッジは最大25倍に設定されています。米ドル円取引で1ドル=100円の時に1万ドル分の取引を実施する場合、必要証拠金は以下のように計算できます。
- 必要証拠金×25倍=1万ドル(100万円)
- 必要証拠金=100万円÷25=4万円
最低取引単位を1万通貨単位に設定しているFX会社の場合、証拠金は最低4万円から必要だと分かります。
また、上記と同じ条件の場合、必要証拠金を10万円に設定するとレバレッジは10倍になります。
最大25倍までの範囲で必要証拠金をいくら入れるかによってレバレッジは変動します。これが基本的なレバレッジ設定の考え方です。
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ただし、必要証拠金はFX会社によって個別に設定されており、レバレッジが最大25倍の会社なら取引額÷25が最低証拠金という訳ではありません。
FX会社 | 必要証拠金 |
---|---|
GMOクリック証券 | レート×通貨単位×4% |
外為どっとコム |
|
DMM FX | 現在レート×Lot数×10,000(通貨)÷25 |
SBI FXトレード | 基準価格×25%(レバレッジ25倍の場合) |
外為オンライン | レート×通貨単位×4% |
外貨ex byGMO | 現在レート×10,000(通貨)×25%(レバレッジ25倍の場合) |
LION FX | レート×1Lot あたりの通貨数量×4%の金額(100 円未満切り上げ) |
みんなのFX | 現在レート×25%(レバレッジ25倍の場合) |
FXブロードネット | 値洗いレート×1Lot あたりの通貨数量÷コース最大レバレッジ |
FXプライムbyGMO | BIDレートで算出 |
FXの証拠金維持率
FXの証拠金はレバレッジ設定だけでなく、ロスカットを回避するためにも必要です。
ロスカットについて理解するためには、証拠金維持率の仕組みの理解が大切になります。
証拠金維持率は必要証拠金に対する純資産の割合のことです。FX取引でいうところの純資産とは、証拠金残高と約定の損益を加えて、出金予約額を差し引いた金額を指します。
純資産額=預託証拠金残高+約定評価損益-出金予約額
証拠金維持率は、以下の計算式で算出することができます。
証拠金維持率 = 純資産÷必要証拠金 ×100(%)
例えば純資産が30万円、必要証拠金が20万円の場合、証拠金維持率は150%となります。
必要証拠金はFX会社が各自に定めた値なので変動はしません。一方で純資産は取引の損益に応じて上下動します。
この証拠金維持率を使って、FX会社は各自でロスカットラインを制定しています。
ロスカットラインを下回った場合は強制ロスカットとなり、マーケットから退場させられます。
ロスカットは急な相場変動でトレーダーが借金を負うのを避ける仕組みであり、ロスカットラインで退場となれば負債を抱えることはありません。
ただ、場合によっては相場の急落にロスカット機能が付いていけず、大幅に約定がズレたタイミングで決済されて負債が発生することもあります。
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追加証拠金(追証)
ロスカットを回避するために、追加証拠金(追証)が有効です。
これは証拠金を追加で入れることで純資産額を増やし、証拠金維持率を安定させる方法です。
追証はトレーダーが自発的に実行することもできますが、ロスカットラインを割りそうな場合にFX会社が追証を求めてくるケースもあります。
追証によってロスカットを避けることができますが、急激にチャートが変動している場合は追証が間に合わない可能性もあります。
FX取引時の証拠金の目安
FX取引では証拠金をいくらに設定すれば良いのでしょうか?
基本的に、リスクの高いトレードスタイルを選ぶ場合は証拠金を高値に設定すべきです。
ポジション保有が短いスキャルピングやデイトレードは証拠金は少なくても大丈夫ですが、ポジション保有が長い長期トレードの場合は目を離した隙に相場が急落するリスクも考えて、多めに証拠金を入れておく必要があります。
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ここからは、トレードスタイル別に安心して取引できる証拠金維持率の目安を紹介します。
短期トレードなら300%以上が目安
短期トレードの場合、証拠金維持率は300%以上を目安に考えましょう。
短期トレードでは狙ったタイミングでエントリーでき、ポジション保有中はチャートを常にチェックできるので大きな変動にも対応しやすい状態です。
ただ、エントリーから決済まで数秒~数分ほどのスキャルピング取引でもロスカットを受ける恐れは十分あります。
突然の変動も考慮して300%以上を維持しておくと安心して取引ができます。
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長期トレードなら1000%以上が目安
数週間~数年単位でポジションを持ち続ける長期トレードは、常にチャートを見続ける訳にはいかず、放置する時間も長くなります。
特に、スワップ狙いの長期トレードなどは新興国通貨で取引することが多いので、相場急落のリスクも高くなります。
ループイフダンのようにリスクの少なそうなリピート系の自動売買でも、放置を続けているとロスカットを受けることが出来ます。
常にチャートにかじりつける取引時間を超えるかどうかを目安に、証拠金を増やすのがおすすめです。
FXの証拠金を設定する時のポイント
FXの証拠金を設定する際は、いくつかのポイントを理解しておく必要があります。
証拠金を多く入れておけば安心して取引できるという訳ではありません。
長期戦略も見越して証拠金額はいくらにすべきか考えていきましょう。
金額と期間のバランスを考える
FX取引は高い証拠金維持率を維持していればリスクが減るのは確かです。
ただ、数か月限定でFX取引をおこない、短期間で利益を増やすことを目的としている方なら高額の証拠金を必ず維持すべきという訳ではありません。
必要証拠金を入れすぎる余りに投資資金が減ってしまえば元も子もありません。
中には証拠金によって生活が圧迫されるトレーダーもいます。
証拠金を多く入れていれば当面は安心ですが、この状態はロスカットを受けた時に自己資金がない状態で破産まっしぐらの可能性がある、危険な状態の前兆でもあります。
FX取引をいつまでやるのか、いくらが目標なのかなども考えた上で証拠金の設定をしましょう。
複数口座に分散すべきか考える
FX取引では、複数口座で異なる注文をおこない、リスクを分散する方法が良く用いられます。
トレーダーの中には、複数口座で違う注文をして勝ったやり方を採用するABテスト的な使い方をする方もいます。
自己資金に限りがある方は証拠金を一つの口座に固めず、複数の口座に分散させるのもおすすめの方法です。
中途半端に複数口座を保有して証拠金が上手く分散できないとロスカットされやすくなってしまいますが、最初に複数口座で勝ち筋を試してから使いやすいほうをメインで使うという切り替えも可能です。
退場後の資金を残すか考える
トレーダーとして今後も取引を考えているなら、数年~数十年の資金計画も重要です。
今持っている口座でのロスカットを何としてでも防ぎたいと思う気持ちは分かりますが、ロスカットを恐れるあまりに資金をつぎ込みすぎると、失敗した時に後がなくなります。
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FXや株式投資などのチャート予想は専門家でも難しく、ロスカットを完璧に回避することは不可能です。
万が一ロスカットを受けた後も再び取引に復帰できるよう、必要な投資資金を確保しておくことをおすすめします。
FXの証拠金は上級トレーダーの情報を参考にしよう
FX取引で証拠金をいくらに設定すれば良いかについては、明確な答えがない上に情報も出回っていません。
FX会社にすれば「最低○○円から取引可能!」と、いかに低額で始められるかを強調したい部分もあるので、本当は証拠金がいくら必要だと思うか発表していないことも多いのです。
証拠金などの情報は、実際に取引経験のある有名トレーダーのブログやSNSでチェックすることができます。
特にFX初心者はこれらの情報をチェックしておきましょう。