FX・株で一定額以上の収益が出た場合、税金が発生します。この時、意外と注意が必要なのが、ふるさと納税への影響です。
投資で発生した税金は住民税・所得税とは異なるので、ふるさと納税への影響もイレギュラーなものになります。
資産運用で合わせて実施する方が多い分、それぞれの影響について事前に確認しておきましょう。
FXの税金はいくら支払う?課税額の計算方法・確定申告の必要条件と申告の流れを解説
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FX・株で利益が出るとふるさと納税の控除額が増加
FX・株取引で損失が出ている場合は、控除限度額への影響はありません。
一方で、利益が出た場合は、専業・副業にかかわらず控除限度額が増額されます。
副業でFXをしている会社員は給与所得+FXの利益を合わせた合計所得によってふるさと納税の寄付上限は決定します。
副業の収入を考えずにふるさと納税の計画を立てないように注意しましょう。
FX・株で利益が出た後のふるさと納税の手続き
ふるさと納税にはワンストップ特例という、確定申告をせずに寄付金控除を受けられる制度があります。
この制度を使えば手軽に手続きできますが、ケースによっては確定申告をしたほうが良いこともあります。
特にFXや株で利益を得ている場合、確定申告しないと控除額上限を上げることはできません。
会社員の方は確定申告のやり方に不慣れかとは思いますが、メリットを考えるとこちらが最適な判断となります。
FXの確定申告のやり方を完全ガイド!申告が必要なケースと書類の書き方を詳しく解説
ここからは、ケース別に望ましい手続きのやり方を紹介します。
源泉徴収あり口座での株取引で利益が出たケース
株式投資では、源泉徴収が自動的におこなわれる特定口座を選択できます。
このタイプの口座で取引をする場合、税金は源泉徴収済みの状態になるので利益が高額の場合も確定申告の必要はありません。
源泉徴収ありの特定口座で取引をしているなら、ワンストップ特例を利用しても控除額上限は増加されます。
FX・源泉徴収なし口座での株取引で利益が出たケース
株取引で源泉徴収なしの口座を利用している場合や、FXのように特定口座の仕組みがない取引をしている場合は、利益が20万円を超えたら確定申告が必須です。
一方、給与所得者で副業所得が20万円以下の場合、確定申告をする必要はありませんが、住民税の申告は必要です。
ふるさと納税は確定申告とワンストップ特例制度のいずれかの手続きが必要ですが、確定申告をしてしまうとワンストップ特例制度は使えなくなるので注意しましょう。
FX・株の利益によるふるさと納税の控除額変化をシミュレーション
FX・株で利益があった時、具体的にふるさと納税の控除額にはどのような影響があるのでしょうか?
ふるさと納税の控除限度額は、以下の式で計算されます。
控除限度額=個人住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率×1.021) +2,000円
ここでは、以下の家族がふるさと納税で寄付をした場合の控除額を計算していきます。
- 給与収入:700万円
- 家族構成:3人(夫婦と子ども1人)
- 所得税の税率:10%
- 住民税所得割額:45万円
- ふるさと納税での寄付額:5万円
この場合、まずは所得税分の計算をします。
- 所得税分:(5万円-2,000円)×10%=4,800円
- 復興特別所得税分:4,800円×2.1%=100.8円
計算した額を合計して、4,900円(100円未満切り捨て)となります。
次に住民税分を計算します。
- 基本分:(5万円-2,000円)×10%=4,800円
- 特例分:4,800円×【100%-住民税基本分10%-(所得税率×復興特別所得税率1.021)】=4,800円×0.8168=3,900円(100円未満切り捨て)
この時、住民税所得割額の20%以内だと、特例分の全額控除が認められます。
最後に両者を合計して、8,700円となります。
この場合の控除額は合計で4,900円+8,700円=13,600円です。
FXで利益が出ると限度額が最低10万円前後アップ
次にFXの年間利益が50万円だったとして、同じ条件で計算していきます。
FXで得た利益を含めて、まずは個人住民税所得割額を計算します。
個人住民税所得割額=前年の所得額-(所得の控除額※×税率-控除額)
=45万円-(17万9,990円×5%)=44万1,000円
※所得の控除額=収入金額×40%-10万円
この計算を元に控除限度額を計算します。
44万1,000円×20%÷(90%-20%×1.021) +2,000円= 88,200円÷0.7147+2,000円=125,408円
今回の場合は、ふるさと納税の控除額が125,408円アップすることが分かりました。
FXの利益は20万円超から申告義務が発生しますが、この場合でも一般的な世帯収入なら10万円前後の控除額アップが見込めます。
ふるさと納税の確定申告の注意点
国民健康保険料が値上げする可能性がある
FX・株取引で利益が発生したら、総所得は増えていきます。
20万円超の利益が発生して確定申告をすると、ふるさと納税の控除額上限が増える一方で、国民健康保険料が従来よりも上がる可能性があります。
国民健康保険は所得割・均等割から算出されますが、上記の計算のように副業で収入が増えると所得割も上がるので、国民健康保険料も一緒に上がってしまう恐れがあります。
国民健康保険に加入している個人事業主の方は、十分注意が必要です。
主婦(主夫)は扶養から外れる可能性がある
配偶者の扶養に入るには、利益の上限が年38万円以内であることが決められています。
ただし、この金額はパート収入などの給与所得から控除額を差し引いて、副収入を加えた数値となります。
給与所得控除は最低65万円なので、収入が65万円+38万円=103万円以内なら問題はありません。
しかし、この金額を超過してしまうと、扶養が外れるのに加えて超過額が課税されてしまいます。
一方、株式投資などの源泉徴収がある特定口座を利用する場合は、株式投資で得た利益は控除に影響しません。
FX・株取引とふるさと納税を併用したい人が知るべきこと
FX・株とふるさと納税を合わせれば、どちらにも良い相乗効果が生まれるのではないかと思っている方も多いです。
この考え方は間違いではありませんが、漠然と目標を掲げる前に、実際に併用をする前に知っておくべき事柄を整理しましょう。
投資で年間20万円稼ぐのはかなり難しい
ふるさと納税の上限額を増加させようと思ったら、投資で年間20万円超の利益が必要になります。
年間20万円なので月1万円程度の利益が得られれば問題ないのですが、実際にこの金額を稼げているトレーダーは全体の一握りです。
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特に仕事の合間に副業でFXをしている人などは、年間100万円前後の利益を得るのはかなり難しいと考えて良いでしょう。
わずかでもFXによる収入の上乗せがあれば、希望の自治体を選べる幅は広がるかも知れません。
あまり期待しすぎず、まずはそれぞれの知識を蓄えるところから始めましょう。
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投資には損失のリスクがある
ふるさと納税をお得にするために投資を始めたいという方の多くは、失敗した時の損失リスクを深く考えていません。
FX・株は高額利益を得ようとして高いレバレッジをかけるほど、失敗した時の損失は大きくなります。
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最悪の場合、失敗して借金を被って自己破産するリスクもあることを頭に入れておきましょう。
ルールは自治体ごとに決められる
上記で紹介した計算方法などはあくまで一般的なものであり、実際のルールは各自治体によって異なるケースもあります。
控除などのルールの違いはあっても微々たるものなので、金額によっては細かく気にする必要はありません。
しかし、控除できるかどうかギリギリの金額に収まりそうな場合は、各自治体に問い合わせることをおすすめします。
その他、最新の税率や確定申告の方法なども、参考資料の内容が既に変更されている恐れがあるので、気になったら窓口へ確認することを心掛けましょう。
まずは投資に専念するのがおすすめ
最近はFXや株で大きな利益が出た後に「ふるさと納税がお得らしい」ということを聞きつけて窓口へ相談する人が多いです。
最初から投資とふるさと納税の勉強をするよりも、まず投資で利益を出してから節税や財テクについて考えたほうが、効率が良くておすすめです。
前述の通り、投資で利益を出すには長い時間が必要なことも多いです。
リスクを回避することも考えなければいけないので、まずは投資に集中しましょう。
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投資とふるさと納税を上手に運用しよう
難易度は高いですが、投資で得た収益をふるさと納税に利用すれば、お得に地域貢献ができます。
収益を生み出し、安く品物を得ることが出来るので、生活には大きな好影響をもたらします。
まずは収益を作ることが重要なので、どうすれば取引で勝てるかの学習から始めていきましょう。